温度コントロールによる肉の温かさ
公開日:
:
2019/06/15
店・料理人

レオナルド・ダ・ヴィンチは馬の彫刻を作るために、何頭もの馬を解剖したという。
僕は肉を食べるとき温度を気にする。生温い肉が好きではない。だからテーブルに運ばれてきたらすぐに口へ運ぶ。早食いなのであっという間になくなる。しかし、この日は違った。
火が通っていないように見えて温かい。温かいにも階層がある。火の入れ方、肉の切り方、温度コントロール。偶然の産物ではないことは一切れめを口に入れたときの温度でわかった。ちょうどいい。これ以上でもこれ以下でもない絶妙な温度。
近江牛A2のシンシン(シンタマ)はサシがなく、赤身が強い肉だが味は単調だ。僕は味が薄いという表現をするのだが、水分が多く香りが乏しい。だからA2なのだが、こういう肉は手当て次第で化ける。火の入れ方、切り方で大化けする。眠っていた命がドクドクと脈打つ。偶然ではない、緻密さと繊細さ。49.1度が物語る狂人さ。言葉と表現方法、スタイルはまったく違うが、もうひとりのハジメ(メゼババ/タカヤマハジメ)が浮かんだ。
楽しく悩ましく久しぶりに興奮した。
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