喉が悪いとウルテが効くってホント?
牛の内臓、いわゆるホルモンだが、これほどややこしいものはない。
流通ルートが複雑で、特にブランド牛のホルモンは昔からのしがらみがいまなお強く影響反映している。
このあたりは、畜産業界に関わってきた方や現在牛肉関係の仕事をされている方なら周知のことだが、新規参入(焼肉店など新たに事業を始めようとしている)の方は驚かれる。肉は仕入れられてもホルモンで苦労されることがほとんどなのだ。
みなさんの身近なところを例にとると、リアルでもネットでも肉はブランド牛だが、ホルモンは「国産」もしくは「黒毛和牛」を販売しているケースが多い。
これはブランド牛は問屋さんから仕入れられるが、ホルモンは内臓業者とのコネクションがないため、やむを得ずノーブランドの黒毛和牛、もしくはホルスタインやF1(交雑種)のホルモンを仕入れて販売しているという事情があるのだ。
当店の場合は、25年間お付き合いしている内臓業者さん、そして生産農家さん経由で直取引しているため、比較的スムーズに入荷している。ただ絶対量が少ないので大きな取引はできない。
ときどき大手の焼肉チェーン店から取引の打診があるのだが、そもそも大量販売を目的としていないためお断りしている。お断りする以前に30店舗も40店舗もあるチェーン店に供給できるだけのホルモンは揃わないのだが・・・。
ところで、牛肉にはトレーサビリティーの表示義務があるのはご存知だと思うが、ホルモンにはそれがない。いずれはそのあたりも整備されるかも知れないが、現状の仕組みでは難しいというのがホントのところだ。
そのあたりを気にしている消費者がたくさんいるとは思えないが、安価な輸入牛のホルモンを提供している飲食店のメニューを見るたびに、私はその商品の背景が見えないことに不安を覚えることがある。
さて、前置きが長くなったが、少し都市伝説的な話をしてみたい。
体の悪い部分、たとえば肝臓とか胃とか、その悪い部分のホルモンを食べると良くなると言われている。
たとえば肝臓が悪ければレバーを食べれば良くなるということだが、ホントのところは眉唾物だが、いかんせん試したことがないので何とも言えない。
昨日は、地元のテレビ番組のファン感謝祭があったので出席してきた。
帰りに ホルモン大好きな尺八奏者の伴さんと一緒だったのだが、ホルモン談義のなかで、風邪をひいたり喉がいがらっぽくなるとウルテ(写真)を食べると治るという話を真顔でふってきた。
本人だけではなく、奥さんも喉の調子が良くないとウルテ頼みだそうで、これはにわかには信じがたいが、試さずにはいられない。本人も思い込みかもということを前提に話されていたのだが、果たしてこれは都市伝説なのか本当なのか・・・
【ウルテ】:フエガラミとも呼ばれるウルテは、喉の気管にあたる軟骨で内蔵の中で最も硬い部位。味はなくコリコリとした食感を楽しむだけでホルモンの脇役的な存在だ。コアなホルモンファンには絶大なる人気を誇るのだが歯が丈夫でない方にはあまりおすすめできない。
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