*

牛肉のスミについて

公開日: : 2016/12/15 コラム

img_3782

サーロインの脂側にグレーのラインが肉に入り込んでいるのが確認できるかと思います。牛肉の業界では「スミ」と呼ばれるものですが、私はこの言葉があまり好きではないので「食べ頃サイン」と呼んでいます。ややこしいのでここでは「スミ」で表現します。
では、なぜ「スミ」が入るのか?… かなり前になりますが、枝肉を長年扱っているベテランの職人さんに聞いたことがありますが、理由は曖昧で「空気が入っているから」と答える方がほとんどでした。じつは私もそう思っていまして、もう少し掘り下げると「環境温度」が原因だと思うのです。
肉を保管している冷蔵庫から作業台に移せば温度が変わります。特に長時間放置している場合や焼く前に常温に戻している場合など、肉の表面と中の温度差からなる現象だと考えられます。
骨付きのまま冷蔵庫に保管しておいて、注文ごとに切り分けすぐに元の冷蔵庫にしまえば「スミ」は発生しないと思われますが、肉の表面の温度が高くなってしまえば「スミ」が発生する確率が高くなります。
つまり、0℃で冷やされた肉の塊を作業場でカットすれば時間の経過とともに肉の温度が上がります。温度が上がった肉をふたたび冷蔵庫へ戻すと、肉は時間をかけて0℃になります。0℃(冷蔵庫)⇒15度(室内作業場)⇒0℃(冷蔵庫)といった感じです。
ということで、「スミ」は温度変化が原因であり、もちろん食べても問題はありませんし、おいしく食べられるサインだと私は判断しています。

記事が気に入ったらシェアをしてね

  • twitter
  • facebook
  • google+
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ユッケ、タルタル、生食について

ここ最近、何軒かのレストランで食事したときにメニューに堂々とタルタルがありまして、お店の方に

記事を読む

霜降りがおいしくなくなった理由

霜降りは最近年のせいかあまり食べられなくて・・なんて声をよく聞きます。確かに年のせいも多少は

記事を読む

おいしい牛肉を手に入れるには情報と人脈

過日、草原あか牛『eco beef』セミナーが開催された。前後のスケジュールを詰め込みすぎた

記事を読む

ミンチこそ信頼できる店で!

フランスの話に戻りますが、みどりさんに連れて行ってもらったコルマールのお肉屋さん。ミンチ機が

記事を読む

食材を語り料理を語り酒を語ることもおいしさの一部だと思うのです

愛農ナチュラルポークのロースト(銀座レカン/高良シェフ)と三重県伊賀の妙の華(森喜酒造場)の

記事を読む

和牛・牛肉通販 近江牛.com

https://www.omi-gyu.com
仕事の奥深さ

本日から11月、しかし一年あっという間でなんか怖いですね。同級生ですで

所作

写真は、昨夜、BRUSTAで食べた近江牛ウチヒラ。西山さんはワ

今月のジビーフも2頭入荷しています

↑ はるか 今月も2頭のジビーフが入荷してきました。「はる

→もっと見る

  • 2024年3月
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31