*

牛を屠畜して解体する

公開日: : 2018/02/11 コラム

牛の眉間にノッキングガンを撃ちつける。ドンっという鈍い音とともに牛は気絶して倒れた。すぐに首を切り放血させる。対面にいたもう一人の職人は一瞬にして顔の皮を剥ぎ取る。足や頭を切断し、全体の皮を剥ぎ、内臓を掻き出す。背割りして洗浄された枝肉はいつもセリで見る形だ。ここが現実と非現実の分かれ目のような気がする。解体の「解」は、「角」「刀」「牛」を組み合わせてできている。昔は包丁1本で解体していたが、いまは機械に委ねる場面が多い。未来の解体はロボットがやるかも知れない。

今日は早朝から東京の料理人みなさまと屠畜、解体の見学をしたのだが、現場をみて感じることは「大切に扱う」「おいしくする」この2つしかない。それが私の役割だと強く感じる。1頭の牛を解体して枝肉にするのにこの日は27名が関わっていた。牧場で牛を見る感覚とはまったく違う。目の前に現実がある。これが食という世界の入り口だと心が震えた。

記事が気に入ったらシェアをしてね

  • twitter
  • facebook
  • google+
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

父親間もなく引退

90歳近い父親。この8月で引退する。引退したくてするのではなく駅前開発で店がなくなるので渋々引退

記事を読む

生鮮3品の存続は若者が憧れるような職業にならないと

僕が修行していた頃は、店内で枝肉を捌いている光景が普通だった。お客さんと会話しながらリズミカ

記事を読む

近江牛だからおいしいとは限らない

私が幼い頃から慣れ親しんできた近江牛。だからこそあえて言わせてもらうと、近江牛だからおいしい

記事を読む

生涯現役、肉屋しか知らない父親の勇断

うちの父は80歳だが先月まで母と2人で駅前商店街の一角で肉屋をやっていた。数年前からマンショ

記事を読む

生食の提供について

タルタル、ユッケを提供している飲食店を多くみかけます。雑誌で見ることもありますがどうみてもアウト

記事を読む

和牛・牛肉通販 近江牛.com

https://www.omi-gyu.com
仕事の奥深さ

本日から11月、しかし一年あっという間でなんか怖いですね。同級生ですで

所作

写真は、昨夜、BRUSTAで食べた近江牛ウチヒラ。西山さんはワ

今月のジビーフも2頭入荷しています

↑ はるか 今月も2頭のジビーフが入荷してきました。「はる

→もっと見る

  • 2024年4月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930