美とは何かという定義よりも大事なことはわくわくすること
公開日:
:
2015/10/12
近江牛
食にも通ずるものがありますね。美の感覚同様に味覚も人それぞれだし、霜降りだの赤身だのいったところで、作り手がわくわくしなければ食べ手はわくわくしないんじゃないかなと、そんなふうに思います。
知り合いでもなんでもない生産者の肉です。9月28日のセリで買ったのですが、この日の上場は22頭。しっかり目利きしてなんとなくこの牛が気になって落札したのです。素牛は岐阜で枝重300kgちょっとで小さめです。ただ25ヶ月でと畜しているので、エサを食わなくなったのかな?とか、いろいろ考えながら目利きするのがおもしろいのです。
私のやり方は、理由がない限り夏場で1週間、冬場で2週間ぐらい枯らしてから精肉にします。修行していた店がこのやり方だったので、習ったままやっている感じです。さて、気になる味ですが、だいたい想像どおりでした。リブロースは肉色も淡くて目視だけで胃にすーっと馴染む食感が予想できました。
500gぐらいは食べたかな。まったく胃が疲れないし、まだまだ食べられそうでした。ただ、サシが多い肉のようにガツンとくるインパクトがないので物足りなさは否めません。逆にサシが多い肉だったら500gも食べられないし、食後のお腹がはち切れるのほど膨張感はできれば避けたいものです。このあたりも好みの問題ですね。
最近は赤身を求めるお客様が増えてきましたので、ロース系でも比較的あっさりと食べれるものを選んで買い付けていますが、個人的にはサシがたっぷり入ったリブあたりを2枚程度すき焼きにするのが好みです。逆にステーキはサシの多い肉は苦手なので、赤身を好んで食べています。要は部位と食べ方のバランスなのですが、肉屋の仕事はいかにおいしく仕上がるかであって、あとは食べ手の好みですね。
すき焼きがあっさりしすぎて物足りなかったので、友人の和菓子屋さん(伊勢屋)からいただいた蓬餅で隙間を埋めることに(笑)
添加物や余計なものは一切入れていないので自然の香そのままです。東京にお住いの方はぜひオススメです。素朴な味ですがおいしいですよ。場所は下馬で、三茶と祐天寺の中間よりも祐天寺寄りで中目黒から野沢に抜ける裏道の途中にあります。底抜けに明るいご夫婦が出迎えてくれますよ。
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