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600kg超えの枝肉からとれたウチヒラは見た目キレイだが・・・

公開日: : 2014/05/03 近江牛

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問屋さんからウチヒラ1個貰いまして(正確には買ったのですが)、なんのためかと言うと勉強のためです。私じゃないですよ、社員に勉強させるためです。

まずは、脂と筋を取り除いてすき焼きやしゃぶしゃぶ用にスライスします。残った端材でカレーシチュー用に角切りにしたり焼肉用にカットして商品化します。数年前ならユッケやタタキにしたのですが、いまは個人で楽しむ程度で肉屋の特権みたいなものです。

近年、近江牛のセリでは、600kg超えの枝肉が目立ち始めてきました。一昔前なら考えられない大きさです。せいぜい400kgもあれば十分だった枝肉が500kgになり600kgになり、そのうち700gなんて枝肉も出てくるかもしれません。生産者はとにかくエサを食わせて大きくすることを優先とし、サシを入れ、血統的にサシが入りにくい牛なら、単価を稼ぐために増体し、そのために牛に負担がかかってしまう。というのが私が見聞きして感じたことです。

それだけの体重を支えるのは困難であり、牛にかなりのストレスがかかってしまうと思うのです。立ち上げれない牛もいるでしょうし、内臓も弱ってくるでしょう。そのように育った肉がほんとうにおいしいのでしょうか?、、、私には疑問です。生産者は自分が育てた牛肉を食べないからこのあたりが分かりずらいと思うのです。

肉用牛は経済動物です。愛玩動物ではありません。だから牛の立場なんて考えている場合じゃないのかも知れないし、同情して経営が立ち行かなくなったのでは本末転倒というもの。生産者の優先順位は経営を持続することです。

しかしねぇ・・・

私は問屋でもなければ大企業の社長でもありません。小さな街のどこにでもある肉屋です。社員もいますので法人化していますが、会社を大きくする欲もなければだれかに跡を継がせるような構想もありません。こんな話を経営者仲間とすると、いろいろと言われるのですが、理想を追い求めると事業って大きくできないのです。

例えば、A4のウチヒラばかりを週に3本使いたいという取引依頼があったとします。そりゃ売り上げも大事ですからね。もちろん揃えることは可能です。しかし、私が納得いくウチヒラばかりというわけにはいかないのです。A4ばかりを週に3本揃えなければいけないという義務感で、品質は後回しになってしまいます。私の仕入れキャパでは納得のいく内ヒラを週に3本揃えることはできないのです。

近江牛ならなんでもいいとか、A4であればいいというのなら可能ですが、一定した品質を要望されると持続できないのです。近江牛でA4やA5を指定してくる方は、「サシ重視」なので基本、私とは合わないのですが、B4以上に付いてくる近江牛認定書を欲しがる方が多いですね。認定書を店に貼ってアピールしている場面によく出くわしますがあまり意味がないように感じます。認定書に関する私の考え方はこちらをご覧ください(

さて、話を戻しますと、冒頭の写真のウチヒラですが、600kg近い枝肉からとれたウチヒラです。通常は、当店ではすき焼き&しゃぶしゃぶ用としてスライスするので、このようなカットにすることはありません。じゃーなんのために?、、、ということですが、これだけ大きな枝肉ですから、体を支える肢にはなんらかの異変があるはず。私は何度も経験しているので、社員の勉強のためにと脂と筋を取り除いて赤身だけにしてみたのです。

モモといえどもサシが入り、思いがけないところに筋や血管が入っています。見た目はキレイですが無理をさせて育った牛の肉は、すき焼きにしても焼肉にしても私の好みではありません。つまり増体して牛に無理をさせたがために入るはずがない個所に筋が入ってしまっている、ということです。

このウチヒラは、いつも扱っている肉とそうでない肉の違いを知ってもらうために仕入れたのですが、同時に、私たちの取り組みについてもいま一度社員が再認識することが目的の1つでもあります。

10年ほど前に、私の考え方に共感して二人三脚で取り組んでくれる飼育農家を探していた時に知り合ったのが方がいます。育て方から餌に至るまで、私なりの要求を出して、できることはすべてやってもらっています。

生産者から牛から餌から水から、、、なにもかもその1頭に関わるすべてを預けられるシェフとだけ付き合っていきたい。真剣にそう思いますし、いまがそうですし、これからもこの考え方に変更なしで、シェフが作る料理にまで責任を持ちたいと思うのです。それが私の仕事ですし、できれば社員にも目指してほしいところなのです。

 

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