大分県産の経産牛を熟成させました
今号の「料理通信」はかなりおもしろいことになっている。知り合いのシェフが多く掲載されていて、なかでもル・キャトーズィエムの茂野さんが目立っている。掲載のことは聞いていたので知っていたのだが、事前に「新保さんのことも話していいですか」と言われていて、バッチリ名前でも出ているのかと思いきや私だとにおわせるようなニュアンスだった(笑)
茂野さんからパリ時代は、ル・セヴェロの休みの日に肉屋で手伝いをさせてもらっていたと聞いたことがあり、特集では、その肉屋のご主人、ユーゴ・デノワイエさんが登場している。
茂野さんが初めて私の手掛けた熟成肉を見たとき(正確には、見て、触って、話を聞いて、焼いて食べた)、かなり驚かれて、こういう肉を探していたんです。と興奮していたのを思い出した。
届いたばかりの「料理通信」の記事を読んで、その理由がよくわかった。ユーゴ・デノワイエさんが熟成肉に向く肉としてあげているのがこちらだ。
【品種】リムーザン種、ノルマン種などフランス種の牛
【飼育年数】:5~7年の経産牛
子供を産んでいる方が、太ってきていて脂がつく
【エサ飼育方法】牧草、干草、最後に穀物
オリジナルの飼育法、屠殺法の規定があり、取引先にはそれを守ってもらう
【熟成方法】屠畜場で枝肉のまま3週間熟成させた後、上半身、下半身の塊に分けて店の熟成庫(0~2℃)へ。
【熟成期間】4~5週間
【熟成の見極め方】熟成完了で、サクランボ、ザクロ色。
柔らかいながらしっかり引き締まった弾力。
そして、私が現在行っている熟成肉がこちらだ。
【品種】黒毛和種
【飼育年数】:近江牛は27か月~30か月、経産牛は5~10年
近江牛に関しては赤身の強いA3以下
【エサ・飼育方法】牧草、干草、穀物
経産牛は、半年間再肥育を行う
【熟成方法】屠畜後、枝肉のまま7~10日熟成させた後、ロース、モモのみ骨付きのまま店の熟成庫(0~2℃)へ。
【熟成期間】4~5週間
【熟成の見極め方】熟成完了で、色より肉質と香重視
とまぁ、こんな感じなのだが、非常によく似ているのがお分かり頂けるだろう。つまり茂野さんは長年パリで扱っていた肉と同じような感覚で日本でも肉を扱えることに驚いたのだと思うのです。
私自身も、熟成肉をはじめて10年が過ぎた。本格的に湿度まで調整したドライエージングに関しては4年になる。さまざまな肉を試した結果、私が選んだ肉が、近江牛A3以下と経産牛なのだ。特に経産牛に関しては、近江牛に限らず、全国の市場から選んでいる。
写真の熟成肉は、本日骨を抜いたばかりだが、近江牛ではない。平成24年7月20日に大分の豊肥市場で買い付けた経産牛だ。ちなみに産まれたのは平成11年7月20日、大分県竹田市の繁殖農家さんによって、、、です。
再肥育したので、適度に脂がつき肉質もかなり良くなった。熟成させたことにより柔らかさはもちろんだが、旨味が増し、最高の熟成肉に仕上がった。
熟成肉ブームで、適当な取材でデタラメな記事が多いなか、こういう本格的な記事はとてもうれしいし勉強になる。
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