食材の背景を連想させる料理は感動的だった
公開日:
:
2013/11/10
熟成肉, 愛農ナチュラルポーク
先日の台風で葡萄畑が被害を受けてしまい、写真のワインは希少なものとなってしまった。滋賀県の愛東町は県内でも有数のぶどう産地で良質な葡萄が収穫されます。ヒトミワイナリーさんが、栽培家・北邑綾子さんの葡萄に託しチャレンジしたワインが写真の「Shindo Funi」=「身土不二」です。しかし、2013年のShindo Funiは残念ながら飲むことはできません。またこのワインが飲めるようになるのはいったいいつのことやら・・・
クレメンティアの内田シェフは、台風直後に被害のあった葡萄畑に出向いたそうだ。スマフォに納めた写真をみせながら詳しく説明してくれた。グラスに無言で注がれる液体を飲むだけと、ワインの背景を想像しながら飲むワインとでは味わいがまったく違ってくる。じつに味わい深い。
クレメンティア田淵シェフの十八番、木下牧場の近江プレミアム牛を使った牧草焼き。牧草は田淵シェフ自ら収穫時期にお手伝いして刈り取ったものだ。肉に牧草の香がついて木下牧場の風景を連想させる。
左が近江プレミアム牛のウチヒラ、右がDAB(ドライエージングビーフ)のサーロインだ。サーロインは炭焼きにして、こちらは香ばしさが前面にでていた。炭焼きはイルジョットの高橋シェフが得意とするところで、きたやま南山さんで開催した「肉Meets in 野生アンガス牛」で、イルジョットの高橋シェフをサポートした際に、田淵シェフがこれはクレメンティアでも使えるぞと、それ以来取り入れているようで、まさしくMTTESだ。
愛農高校を連想させる一皿は目と舌で思う存分楽しませていただきました。
魔法のスープが注がれます。どこまでも憎い演出が続きます。
スープの正体はこちら
メインの熟成肉はかなり分厚く、噛みしめるたびにガシガシと原始的な味わいだった。この日は、東京から親しくさせていただいている小山龍介さんが大阪に来るということで、それならばと、わざわざ京都までお越しいただいたというわけなのです。その小山さんがパリに住んでいたころ感動した肉に出会ったそうで、長くそのことを忘れていたのだが、この肉を食べて思い出したとパリ時代のことを語ってくださった。
うまい肉は過去の記憶さえ呼び戻す。というとなんか大袈裟なのだがそれほどインパクトのある深い味だった。
このパイ包みは衝撃だった。なんと熟成肉をミンチにするという大胆な発想だ。味は濃厚なハンバーグを食べているようだった。
ラップに包まれたこの料理にも驚かされた。
近江プレミアム牛のヒラカワ(良いところをとった残り部分)を用いた煮込みはビーフシチューのような味わいで、ついついパンを食べ過ぎてしまった。
いつも思うことだが、食材を語れるということは、当然ながらその食材の背景を知っていなければいけない。私はこれらをひっくるめて商品環境と呼んでいるが、それは机に座って本やパソコンから得た知識ではなく、現場で体感したものであり、そういう料理人が作る料理こそがもっと愛されなければいけないと思う。もちろん安くはありません。価格は料理人の値打ちでもありますから。
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