25ヶ月齢「高城」くんの熟成肉が間もなく仕上がります
公開日:
:
2014/07/03
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2か月前に木下さんから、「大きくならない牛がいるんやけど・・・」と電話がかかってきた。つまり、他の牛に比べて成長が遅いのでこのまま飼いつづけていても夏を越せないだろうということだ。私の判断は、すぐに屠畜して肉にすることが賢明だろうと伝え、木下さんに出荷の手続きをお願いしたのでした。この牛には「高城」という名前がついていた。漢字表記なので男の子だ。ちなみに女の子はひらかな表記になる。
25ヶ月齢なので約半年ほど早い出荷となった。ロースは熟成庫へ入れて、あとの部位は事情を説明して東西のシェフの元へ届けた。するとどうだろう… 「この肉はうまい!」とか、「いままでの木下さんの肉のなかでも断トツだ!」などなど、予想だにしない感想が次から次へと私の携帯にかかってくるではないか。
いったいどうなってるんや?いくらなんでもいままでで一番旨いは言い過ぎやろ。と思ったのだが、味見する暇もなくすべて完売してしまったのだった。肉は小さめだったが、弾力のある赤身がいかにもおいしそうだった。試食しなかったのは、この肉は自分で焼くよりもシェフが料理したものを食べたいと思ったからだ。
牛は群れで生活する動物です。多頭飼いで競争しながら大きくなっていくのだが、高城くんはエサはしっかり食べているのだが大きくならなかった。数か月後に産まれてきた仔牛に抜かされるくらい成長が遅いのだ。遺伝性の問題など様々な要因が考えられたが結局、原因はわからなかった。このままだと本当に死んでしまうかもしれない。残酷な言い方に聞こえるかもしれないが、死んでしまってからでは食肉として流通させることはできない。それならば早めに屠畜して肉として食べてやることが高城くんのためでもあるという結論に達したわけです。
昨日は、クレメンティアで有志のみなさんが「高城くんを食べる会」を開いてくれたのだが、シェフのみなさんがおっしゃるように肉の旨味が凝縮していてかなりおいしかった。部位はウチヒラなので、やや硬めではあるが、田淵シェフの料理は硬い部分を無理やり柔らかくするのではなく、硬いものは硬いままで食べてもらうという心意気がすばらしい。もちろん、ただ硬いだけでは疲れてしまうのだが、そのあたりのテクニックが田淵シェフのうまいところだ。
さて、高城くんのロースですが、熟成庫に入れてそろそろ40日が経つころです。間違いなくおいしく仕上がっていると思いますが、私の頭の中には数人のシェフの顔が浮かびます。
ちなみに、写真手前は高城くんですが奥は近江プレミアム牛です。
両方ともウチヒラだと思っていたのですが、写真を見直すと近江プレミアム牛はソトヒラですね。じつに味があっておいしかったです。ソトヒラは肉質が硬いので嫌がるシェフが多いのですが、じつはモモのなかでもいちばん味があって通の方には好評なのです。
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