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熟成肉のすき焼きは予想以上に旨かった!

公開日: : 2011/11/05 熟成肉

ドライエイジングした肉は、すき焼きには合わない。

ずーっと、そう思っていた。
厳密には、思いこんでいたというほうが正しい。

そんなわけで、現在、近江牛熟成肉はステーキと焼肉しか
販売していない。

1年前、ある雑誌に熟成肉の特集が掲載されていた。
いくつかの店が紹介されていたのだが、そのなかの1軒が
かなり熟成肉に力を入れているようなので訪問してみた。

その店(精肉店)は、枝肉を冷蔵庫で長期熟成させているのだが
店主にいろいろとお話を聞いたのち、焼肉とすき焼きの肉を購入してみた。

焼肉は、熟成香がほんの少しだけ感じることができたのだが
すき焼きに至っては、まったくといっていいほど香がなかった。

この時に、すき焼きは、醤油や砂糖などの調味料で熟成香が消えてしまうので
向いていないものだと思いこんでしまったのだ。

いまにして思えば、この店は、昭和時代の枝肉保存法を実行しているだけで
温度、湿度、風を調整して作りあげるドライエイジングとは少しばかり違う。

ただ、熟成した肉の香りは、昔の肉屋で嗅いだ匂いそのものなので
この店は、枝肉で仕入れて、店内で捌き、自然に熟成のサイクルが
できているように思う。

P1010628.JPG

さて、40日間熟成させたA3のリブロースが良い感じで仕上がってきたので
ものは試しにと、すき焼きにしてみた。

よーく考えたら、自分で熟成した肉をすき焼きで食べたことがなかったのだ。

ブロックの状態では、これでもかと言うぐらいに熟成香がして
ナッツのような甘~い香りが、くらくらするぐらいに漂っていた。

私の中でのドライエイジングは赤身肉が定石だが、
今回の肉は、少しサシが入っていた。

これぐらいならOKの範囲なのだが、熟成させたことにより
肉質が少し濃くなっていた。

脂は真っ白ではなく、クリーム色に変化し、指でなぞると溶けだした。

まずは1枚、わりしたを垂らして焼いてみた。

おぉぉぉぉぉぉーーー!!!

子供の頃に嗅いだ、すき焼きの匂いがするではないか?!

いやぁー、懐かしい。

溶き卵も用意したのだが、まずはそのまま口に運ぶことに。

わりしたがよくなじみ、肉にコクが感じられる。
あまり焼きすぎると、水分が飛んでいる分、わりしたが浸透しすぎて辛くなる。

少し赤身が残った状態で、今度は溶き卵から引き揚げて口へ運ぶと
ちょうど良い塩梅で、喉元を滑り落ちるようにするするっと私の胃袋に収まる。

肝心の熟成香だが、食べ始めはまったく香りがないのだが
喉元を滑り落ちる瞬間、わずかに、あの独特の香気を感じることができた。

これがまた心地よく、食べた後に深い充足感がやってくる。

P1010640.JPG

十分に味わった後は、野菜や豆腐を入れて
熟成肉のすき焼きを思う存分楽しんだ。

しかし、いくら熟成させてまろやかになったとはいえ、
ロース系は多くは食べられない。

150g程度で満足してしまうのが正直なところだ。

もうお亡くなりになられたが、
当店の近江牛が気にいって1週間に1度買い物に来るお客さんが
こんなことを言ってたのを思い出した。

昔は、隣の家がすき焼きだと
うちの家にまでええ匂いがしてきて、うらやましかったもんや。
いまは、住宅事情もあるだろうが、香りがしない肉が多いように思う。

私が修業していた頃は、意図的にサシを入れる技術はなかった。

ビタミンAを調整して、故意にサシを入れるようになったのは
ここ10年ほどではないだろうか。

確かに、肉の見栄えはよくなり格付け等級もA4、A5の発生率が上がったが
肝心の「旨し肉」からは遠ざかっているように思う。

熟成肉は、まさに昭和の時代に食べた、あのすき焼きを彷彿とさせる
原点回帰なのだ。

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