国産熟成肉(モモ肉)のおいしい食べ方
国産熟成肉(モモ肉)のステーキという商品があり、かなりコアなお客様がついていたり、赤身フリークなお客様からのリピート率も高いのだが、新しく入荷した個体は必ず販売前に試食することにしている。厳密にいうとエージングしているので、「入荷→40日間熟成→試食→販売」という流れになる。
お盆期間中ということもあり、日中はバタついているので昨夜は遅くに試食した。モモはシンタマ(関西ではマル)、ランプ、ウチヒラ、ソトヒラの4つの部位にわかれる。試食したのは一番硬いソトヒラだ。自分の太腿を触ってみるとよくわかるのだが、よく運動する外側は硬くて内側は柔らかい。
ソトヒラの用途は、すき焼きや煮込み用としてスライス、もしくは角切りにしてカレー用として販売することが多く、間違ってもステーキはあり得ない。
ところが、ここ数年、料理人の方とお付き合いする機会が多くなり、ソトヒラでもやり方によっては十分ステーキとして使えることが分かり、試しにと「熟成」してみたところ、これが結構おいしくて、いまでは料理人の方々を中心にクチコミで広めていただいているのです。
畜産関係者や肉に詳しい方なら「経産牛=硬い」という方程式が浮かぶはず。しかし、経産牛ほど味わい深い肉はないと私は思っているのです。もちろん未経産の雌牛や、去勢のモモも美味ではありますが、それらとは一線を画した滋味深いものがあるのです。
子供を何産もしたお母さん牛ですから、骨は細くなり肉量はあまりとれません。極端に痩せている場合は、1ヵ月程度、栄養たっぷりの飼料を与えて再肥育(肉を付けるため)するのですが、肉質はほどよく柔らかくなり、通常の肉とはまた違った味わいを感じさせてくれるのです。
さて、肝心のソトヒラですが、まずはいつものようにカットしてみました。
硬くて歯が疲れます。しかも、噛むごとに肉の中にある繊維がハッキリ確認できるので、よほど筋のないものを選ばない限り、口の中でモゴモゴしてしまいます。
赤身好きの方には好評でも、なにも知らない方がこれを買ったら、おそらく硬いという印象を受けてしまうでしょう。で、どうするかといいますと、小さくカット(サイコロの2倍程度)して食べると、これが驚くほどおいしいのです。もちろん、だからといって柔らかくはありません、しかし、肉の旨味をしっかり感じることができるのです。
サシが入った肉のようにとろけるようなことはありませんが、こういった硬さのある肉をガシガシ食べるのも結構楽しいものです。ぜひ、お試しいただければあなたの肉感が広がるやも知れません。
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