熟成期間が長い肉はオーブンでじっくりがオススメです
ここ最近は、スキレット(鉄のフライパン)で揚げるように焼く「揚げ焼き」にハマっていたのだが、一昨日、熟成庫で90日を経過したサーロインを揚げ焼きしてみたところ・・・
イマイチだった。
表面のカリカリ感はいつも通りなのだが、肉の繊細さが欠けている。いつものようにふっくらふわふわ感がない。火も均一に通っている。もしかすると肉自体に問題があるのかも。熟成期間を伸ばしすぎたかな・・・
と答えが見つからないまま昨日は、同じ肉をオーブンでロースト(写真)してみた。
驚くなかれこれが同じ肉とは思えないくらいおいしくなってしまった。おそらく、熟成肉であれ通常の肉であれ、それぞれの個体には個性があり、それを活かした焼き方があるのだと思う。私は料理のプロではないので、詳しいところまでは分からないが、いやはや牛肉は奥深いと改めて感じた次第だ。
さて、お盆期間中は私も店頭で接客させていただいているのですが、常連の方からいつもはネットでご注文くださる遠方の方々までご来店いただき、とにかく忙しくさせていただいてます。
スーパーのパック入りの肉ではなく、私も含めたスタッフがお客様と対話しながら販売していく対面販売こそが安心してお買いものしていただく1つの指標だと思っています。
今日はこんなことがありました。すき焼き用の肉をお買い求めのお客様が、100g1575円と1260円の肉を迷っておられました。会話するうちに、お客様が迷っておられるのは価格ではなく、肉そのものだと分かりました。さらにお中元にとのことで、先様の顔を浮かべながら悩んでいたのですね。1575円の肉はサシが入っており、1260円の肉は赤身でした。このとき接客していたスタッフが、両方ともおいしいですよ、とさらに迷わせるような対応ではなく、私はサシが苦手なので赤身のほうがオススメです。と試食した感想も交えてアドバイスできたことで、お客様は1260円の肉を気持ちよくお買い求めになられました。
売り上げ的には高い肉が売れるほうがいいのかも知れませんが、それでは対応したスタッフの心に後味の悪さが残るだけです。自分がおいしいと感じたものだけを売る商売なんて成立しにくいかも知れません。でも、当店のような小さな店だからこそ思い切ったことができることってたくさんあるのです。そして、店側の主張がお客様に受け入れられたとき、本来あるべき商人の姿を感じることができるのです。
昨夜、ようやく録画していた「震える牛」をみました。リアルすぎて当時を思い出しました。最終回の番組終わりのナレーションが私の心に残りました。
いったいいつからだろう
経済がひとり歩きして、消費者は忘れ去られていたのは。
大きな商業施設に行って豊かなつもりでいた。
でも、それによって人と人とのふれあいが薄れてきているのではないだろうか。
信頼できるものを信頼できる相手から買う。
そんな単純な、だが、すばらしい関係をもう一度見直すときがきたのかも知れない。
関連記事
-
-
ドライエイジングビーフ(熟成肉)が最高の仕上がり具合で販売中!
年末年始に販売するドライエイジングビーフが 次々に仕上がっている。 当店のドライエイ
-
-
熟成肉はブラック アンド ブルーで外は焦がして中はふわっと
12月中に店頭に熟成庫を設置する予定で進めているのだが、しばらくはディスプレー状態となりそう
-
-
Dry AGING 乾燥熟成の魅力
熟成をエージングといいますが、 エージングには「ウェットエイジング」と「ドライエイジング」
-
-
フランス産のCharolais熟成中
Charolais 11月5日に熟成庫に入れたので、ちょうど50日目になります。黒毛和牛な
-
-
『ほなみちゃん』がお肉になりました
30か月飼育してから出荷する予定だった『ほなみちゃん』だったが、腰が抜けてしまって尻尾が振れ