*

生食の提供について

公開日: : 2019/03/08 コラム

タルタル、ユッケを提供している飲食店を多くみかけます。雑誌で見ることもありますがどうみてもアウトなものも多く載せるほうも慎重になったほうがいいんじゃないかな。なにかあったときの責任は重大です。

生食を提供するには飲食店が許可を取ればいいだけじゃないです。一般の方はもとより飲食関係者も知っている方は少ないと思いますが生食用の肉の仕入れ元が加工の許可をとっていないと違法になります。つまり生食の許可がおりた施設から流通した牛肉以外は生食として提供してはいけないのです。だから生食を提供するということはかなりハードルが高いのです。卸元と飲食店の2つが許可をとっていないとダメだということです。

加工の過程ですが、まず屠畜から枝肉になり7日以内に菌検査から処理までを終わらせなければいけません。菌検査に出している間に熱処理をするのですが、これがめちゃくちゃ手間なんです。うちの場合、枝肉から抜いたモモ4部位(40~50kg)を90~95℃のお湯に30分浸けて、取り出したモモ肉の断面1.0~1.5㎝を62度で2分間キープ。そして3時間30分冷やして芯温8~12℃をキープ。この行程の間に菌検査の結果が万が一陽性なら処理した肉は生食として販売できないのです。

許可申請にはものすごい手間と労力がかかります。それと今ある厨房で許可がおりることはまず考えられないので、保健所の指示に従って改装を余儀なくされるケースが大半です。となると大きな投資になるわけです。許可なく生食を提供している店で問題が起った場合、真面目に許可をとって提供している店にも迷惑がかかりますし、なによりも食中毒の恐れもありますから業界全体のダメージは計り知れないのです。

カルネヤの高山いさみシェフが「イタリア肉料理の発想と組み立て」という本を出版されました。生食用の肉の下処理プロセスが掲載されています。正しい生食の提供の仕方がよく分かると思います。タルタルを提供している飲食店の方に、こういう肉使ってますか?と問いたい。提供する側だけではなく食べる側にもモラルが必要じゃないかな。

 

記事が気に入ったらシェアをしてね

  • twitter
  • facebook
  • google+
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ナチュラルな流れのなかで感じたこと

メツゲライクスダ@楠田さんに作ったいただいた【テリーヌ ド ジビーフ オン ジュレ/ジビーフ

記事を読む

食の楽しみ方はまずは健康であること

国産の羊肉は絶対量が少なすぎてなかなか回ってこないのですが、今回は武藤さん(茶路めん羊牧場)

記事を読む

近江牛だからおいしいとは限らない

私が幼い頃から慣れ親しんできた近江牛。だからこそあえて言わせてもらうと、近江牛だからおいしい

記事を読む

肉汁は肉によりけり焼き方によりけり正解もなく不正解もなく

肉の繊維の断面を先に焼いてから内部の水分を閉じ込めてから焼く云々・・・ この先の文章で

記事を読む

柔らかい硬いの評価ではなくおいしいかおいしくないか

前みたいに気の合う仲間と飲んだり食べたりしたいですよね。なんか数ヶ月前のことが遠いむかしのこ

記事を読む

和牛・牛肉通販 近江牛.com

https://www.omi-gyu.com
仕事の奥深さ

本日から11月、しかし一年あっという間でなんか怖いですね。同級生ですで

所作

写真は、昨夜、BRUSTAで食べた近江牛ウチヒラ。西山さんはワ

今月のジビーフも2頭入荷しています

↑ はるか 今月も2頭のジビーフが入荷してきました。「はる

→もっと見る

  • 2024年4月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930