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近江プレミアム牛の新たな可能性

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「ミスジ」という名前は一度くらいは聞いたことあるんじゃないかな。焼肉屋さんのメニューにもありますからね。ところで最近は一般の方でも牛肉の部位をよく知ってますよね。店頭で学生のカップルがイチボありますか?… って時代ですからね。一昔前なら肉屋の息子か他店の偵察か!なんて疑いながら無愛想に対応したものです。

ミスジやカイノミ、ヒウチなんかは昔から肉屋で通常会話として使っていたのですが、焼肉屋さんの功績と言うのかひねりすぎなネーミングもありますからもうわけがわかりません(笑)

さて、「ミスジ」は希少部位の代名詞ですが、「希少」が一人歩きしている感じです。肉本なんかで派手に掲載されるもんだからお客様からの問合わせや要望も多くあります。当店でも予約販売しているのですが、個人的な好みでいうと私はあまり好きではありません。販売しててなんじゃそら、、、ですがおいしくないとは言っていませんのであしからず(笑)………..
あくまでも好んでは食べないということです。

ミスジはウデの一部なので、どちらかといえば焼肉よりすき焼きやしゃぶしゃぶで食べるのが好きです。ミスジだけを取り出して焼肉やステーキにすると味が単調すぎて飽きてくるのです。しかもA4以上になるとサシがきつく入るため、単調な味にくどさが加わり、私は1枚で十分満足してしまうのです。(ナマで食べるとおいしいのですが・笑)

先日、東京で経営者の勉強会があったのですが、主催者が気をきかせてくれたのか懇親会がイルジョットでした。前日に高橋シェフに電話して冷蔵庫の様子を伺うと、「新保さんも来るの?じゃー、食べたいもの送ってくださいよ」といつものノリです。となれば遠慮はしませんから、入荷したてのレバー、ハツ、タン、近江プレミアム牛のウデ、40日熟成の経産牛ソトヒラを送ったのでした。

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まずでてきたのが、タン、レバー、ハツの炭火焼です。レバーが苦手な人がうまいうまいと食べるんですからどれほどうまいのかお分かりいただけるでしょう。自分で目利きしたものを最高の状態で信頼できるシェフに預けられるのですからほんとうに幸せなことだと思います。

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そしてこれですよ。近江プレミアム牛のミスジです。冒頭でも言いましたがミスジは好んで食べるほうではありません。木下さんのミスジでも…です。こればかりは好みの問題ですからね。しかし、ほんとうにおいしくて独り占めしたいくらいでした。火の入れ方もあるのでしょうが抜群ですね。

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藤井牧場さんが近江プレミアム牛の取り組みに参加してくれて初めて出荷した牛さんですが、満足のいくものではありませんでした。ミスジがおいしかったのは高橋シェフの肉焼きテクニックのおかげです。おいしかったという評価をくださる方もいますが、私的にはダメですね。

水分が多すぎて肉本来の良さが出し切れていません。これはある程度原因が分かっているので今後の対処はできますが、もう少し食い込ませて枝重を多くしなければいけません。とにかく木下さんも最初はこんな感じでしたので、次第に良くなることを期待したいと思います。

ただ、屠畜から肉にするまでイベントの関係上、時間がなかったので、もしかすると1~2週間枝肉の状態で寝かせておけば、ある程度水分は抜けていたかも知れません。実験的にモモを寝かせているので6月中旬頃に食べてみたいと思います。あとはドライエージングしたときの変化も気になるところです。

近江プレミアム牛に関しては、各方面から協力したいと申し出がありとてもありがたいことなのですが、いかんせん人見知りな我々ですから食いつきが悪くてご迷惑をおかけしております。

それでも、今後は面識のある京都大学の熊谷先生にも参加していただき、給与飼料内容による違いが、肉の理化学的特性、各種組織中の脂肪酸組成、アミノ酸組成および官能評価に及ぼす影響を研究対象とし、科学的な検証も含めて新たな価値を創造していきたいと思っています。

10月25日には、京都大学で畜産システム研究会の定例会があり、TPPをテーマにシンプジウムが開催されます。近江プレミアム牛の取り組みを含めて、私も講演させていただくことになりました。TPPには興味も関心もありませんし、話せるだけの知識も情報も持ち合わせていません。

ただ、BSEで死にかけた私たちが活路を見出したのが近江プレミアム牛への取り組みです。第二のBSEが起こってもびくともしない体制を作ろうと木下さんと二人三脚で始めたのが10年前です。その後、口蹄疫や放射性物質の問題が起こっても私たちの取り組みは揺らぐことなく影響も最小限に抑えることができました。TPPが実行されても同様に私たちは平然としていられるようにいま準備しているのです。講演では、私たちが取り組んできた10年とこれからの10年をお話しできればと思っています。

 

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