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ジビーフのベテラン母さんでも離乳てこずる

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これ、何をしているか分かりますか?

写真が暗くて分かりにくいですがおっぱいを飲んでいるんです。去年の4/19生まれのオス牛(去勢)なので13ヶ月令!どっちが親なのか分からないくらい、こんなに大きくなったのですが、まだこうして、たま~に飲むんです。人間でもたまにいますね(笑)

自然や健康志向の今や、「放牧牛」を売りにしている牧場は少なくありません。「大自然で放牧で育った○○牛です~」こんなPOPの下に陳列されている牛肉をスーパー等で見かけたり、レストランで食べたりする時、その肉その物が放牧で育った牛の肉であると思っていませんか?それは、ほぼ100%違います!

売りたいがための誇大広告であり、販売者もじつは実情を知らないケースがほとんどなのです。大学卒業して配属されたのが精肉売り場。命がけで牛と肉と向き合っている私たちとは賭けてるものが違います。私たちは勤め人じゃないわけですし、ましてや人口2人の様似で自然を相手に牛飼いをしている西川さんはいつ熊に襲われるかわからないような状況で日々奮闘しているのです。

放牧牛をウリにしているほとんどの場合、放牧されているのはお母さん牛(繁殖牛)だけです。人工授精によって妊娠した繁殖牛は放牧場に放されますが、出産が近づくと牛舎に連れてこられ、出産すると、初乳だけ飲ませたら直ぐに仔牛と離されます。

離乳を早めると繁殖牛の次の発情が早く来るからです。発情がきた繁殖牛はまた人工授精され、妊娠、出産を、1年1産かそれより短くを目標に繰り返されます。

放牧地で自然出産させ、その後仔牛と一緒に数ヶ月飼う方法をとっている牧場もありますが、せいぜい2~3ヶ月。何故なら、牛の妊娠期間は280日なので、1年1産を目標にすると365日-280日=85日。

つまり分娩間隔85日の間に次の発情を来させなければなりません。いつまでも仔牛に母乳を飲ませていたのでは、次の発情が遅れるのです。親から離された仔牛は牛舎内で、粉ミルクで人間の手によって育てられ、その後お肉になるまで放牧されることはありません。これが、いわゆる世間一般で言われる『放牧牛』なのです。

牛は経済動物ですから、生産性を第一に考えなければ経営的に厳しいものがあります。お母さん牛に、タダめしを食わすわけには行かないのです。効率的に儲かる牛を作らなければいけないのです。1年1産してもらわなければ分娩間隔の長い繁殖牛は直ぐに淘汰されるのです。

だから、この写真のような、親と変わらないくらいに大きくなった青年牛?がおっぱいを飲んでいる光景を見ることは、まずないでしょう。まあ、ここまで大きくなると、可愛くもなんともないのであまり見たくないような気もしますが。牛じゃなく人間だったら顔を背けたくなります(笑)

このお母さん牛、しっぽで払ったり、脚で軽く蹴飛ばしたりして、一応抵抗はするのですがやっぱり牛の世界も人間の世界も一緒なんですね。

「放牧牛」の名のもと、すべてを一括りにしてしまいがちですが、実はこういうことなのです。世の中に溢れているものの大半がそうじゃないかな。上っ面しか見えていないものばかりで、無添加だの無農薬だのと謳っている商品だって調べればキャリーオーバーのものが多くあります。

近江牛というだけで「うわぁー、おいしそう!」って……. そうじゃないんですよね。ブランドに弱い人多すぎますよ。私がこんなことを言ってはいけないのですが、近江牛よりうまいノーブランド牛はたくさんあります。近江牛ってだけでおいしさの洗脳を受けているのです。私たちの業界では「頭で食べる」と言うのですが、枝肉を見てサシが多く格付けがよければ、それだけで「良い肉」という評価なんです。「=おいしい」なのです。良い肉と味は別物ですからね。

だから、近江牛ならなんでもかんでもおいしいと思われるとちょっと違うかなぁーって。生産者とよく話すことなのですが、私たちが取り組んでいる牛肉は、もちろん近江牛ですが、近江牛という冠がなくてもいいよね。知ってほしいのは見栄えではなく中身であって、なぜおいしいのかという裏付けを買ってほしいのです。だから多勢に向けてのメッセージではなく、コアな人に向けてのメッセージを発信し続けているのです。

 

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