食材と料理人との相性
公開日:
:
2015/10/21
ジビーフ(完全放牧野生牛), 近江プレミアム牛
近江プレミアム牛のロース(サーロイン側)です。23ケ月齢で出荷しました。和牛でこの月齢出荷は理由を知らないと不思議に思うかも知れません。通常は30カ月前後で出荷するので、早期出荷はなにかしらの原因(病気など)だと思われるでしょうね。詳しくは書けないのですが、この牛は特殊なエサを与えているので、これ以上飼っても余計な脂がつくだけでタイミンング的には23~25ヶ月くらいがちょうどいいのです。
和牛の良さはなんと言っても「サシ」です。赤身ブームで霜降り肉がワルモノのような扱いをされるシーンも少なくないのですが、理由が不明瞭な場合がほとんどのように感じています。由緒正しい血統由来のサシは肉に酸があって味に伸びがあります。ただ、「サシ」は脂ですから、食べすぎればくどく感じて当たり前です。年齢的に受け付けないと嘆く方もいらっしゃいますが、上質のお肉を少しだけとか、食べ方を工夫すればおいしくいただけるのではないでしょうか。そのあたりを考慮して取り組んでいるのが近江プレミアム牛なのです。
一方、赤身でもなく霜降りでもない、まったく違う規格外の牛がジビーフです。牛にして肉質はまさしくジビエです。料理法は塊肉を焼いてこそで、煮込みには向かないと思っています。たとえばすき焼きにしたとしましょう。草の香りが強すぎるのでわりしたとケンカするように思うのです。いや、わかりませんよ。僕はやったことがないですから。でも、ある料理人の方は、『ジビーフのピュアな味は僕が求めていたものです。また新しいチャレンジをさせてもらえるなんて本当にありがたい、感謝します』こうおっしゃるんですね。これからお野菜のおいしい季節になりますので煮込みます。とも。いったいどのような料理になるのか私には想像すらできません。
ならばと肩ロースのネックを用意させていただきました。肩ロースのネックなんてだれも使いたがりませんよ。和牛であれば切り落としなど用途はありますが、なんといってもジビーフですからね。この方は野草などを使った料理が得意な方なので、きっとジビーフの良さを引き出してくれるに違いありません。
そう思うと、料理人と食材との相性ってほんとうに大事だなと思うのです。最近は外に出て食材を探す料理人の方が増えてきました。自分の足で探しだした食材は業者任せのものよりも、きっと愛情たっぷりな料理に仕上がることでしょう。
ジビーフの香りは独特ですから、苦手な方も多くいます。しかし、こういう肉を探していたんだと感動してくれる方もいます。得手不得手というより、やっぱり相性ですね。
そう考えると、サシが苦手な方もたまたま食べた肉との相性が良くないだけで、もしかすると意外と食べられる霜降り肉もあるのかも知れないですね。
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