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プレミア近江牛、順調に育っています 

公開日: : 2013/06/05 近江牛

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 昨年の7月19日に京都のきたやま南山さんにおいて、吟撰但馬系プレミア近江牛のお披露目会が開催されました。その様子は専門誌などに掲載され、全国各地の飲食店の目にとまり問い合わせが殺到しのですが、プレミア近江牛は2頭しか出荷しなかったため後が続かず・・・

つまりこういうことなのです。生産者にとっては非常にリスキーな要求を私がしたわけで、とりあえず実験的に2頭を試しに育ててみましょうということなんです。えーっと、もう少し詳しく書きますね。

牛はもともと草食動物なのです。それなら穀物飼料を多給しなくても肥育できるのではないかと私の素人考えに木下さん(木下牧場)が乗ってくれたのがそもそものはじまりでした。

3年前に自家産の粗飼料中心(66%)に育てた特別な牛さんをつくろうとプロジェクトがスタート。ちなみに通常の牛さんは粗飼料10%以下で育てられます。

牛さんは産まれて8ヵ月あたりまでは、粗飼料を中心に与えてそれ以降は穀物飼料を与えます。その穀物飼料のほとんどが海外品に頼っているという事実は、TPPの問題などでご存知の方も多いのではないでしょうか。

日本の食糧自給率は40%を切っていますが、厳密にいえば和牛は日本で作られているが、穀物は輸入品だから、これでは自給食糧とは言えないと思うのです。

私がなぜこのような取り組みをしようと思ったのかは後に書きますが、とにかく木下牧場さんには、どのような仕上がりになっても損をしない値段で買い取ることを条件でグラスフェッドによる飼育をお願いしたのです。

どうなるか未知のことなので、まずは2頭で試したところ、私が予想していた以上にうまくいってしまったのです。だからといって今後もうまくいくとは限らないのですが、1年後の出荷を見据えて、私の考えに共感して買い支えてくれる仲間を見つけることに尽力し、おかげさまで同志がたくさん集まり、今年の10月から毎月1頭づつ出荷できる体制が整いました。

うれしいことに木下牧場さんだけでは毎月の出荷が困難なため、藤井牧場さんも参加してくれました。

取り組みは、自家産のサイレージ(粗飼料)を通常の2倍与えて、穀物飼料は与えないというもの。穀物の代わりに、地元でとれた米ぬかやおから、豆乳粕などを与えます。これらはすべて国内産どころか地元のものばかりなのです。酒糟とみりん糟は愛知の知人が手配してくれました。

これが正しいのかどうかさえわからず、木下さんと立命館大学に通って学んだこともありました。そこで知り合った研究者の方々のアドバイスもうれしいものがありました。

穀物を与えないで育つのだろうかと不安もありましたが、そんな心配は無用でした。もちろん、サシを入れるためにビタミンコントロールもしません。ただ、粗飼料をたっぷり与えて育てているので、穀物飼料で育てた牛さんと比較すれば、カロリーやタンパク質の量は違ってきます。

おまけに、増体効率も明らかに劣るため、枝肉重は300kg台の可能性が高いのです。つまり小ぶりな牛(枝肉)は、生産者にとってはお金にならないのです。利益を生まないのです。だから仕上がりが良くても悪くても、市場価格より高値で買い支えないといけないのです。

当然ながら、給与できるカロリーも少ないですから、サシの量も期待できません。格付けでいうとA5はあり得ません。よくてA3、おそらくA2が妥当でしょう。昨年の2頭はA4でしたが・・・。

2001年のBSE直後から生産者との交流を盛んに行うようになりました。牧場を訪問し牛さんを見ることも増え、そして霜降り肉は自然になるものではなく作られるものだということを知りました。知らなくてもよかったかなと思うようなショッキングなこともありました。

先にも書きましたが牛は草食動物です。サイレージ(牧草)を食べることが一番良いのです。でもサイレージには脂肪分があまりはいっていません。だから、トウモロコシなどの穀物飼料を与えるのです。そうしないとサシがはいらないのです。

まだまだ書きたいことはたくさんあるのですが、あまり書きすぎると怒られそうなで・・・。

どちらにしても私をご存知の方なら承知のように、私が霜降り肉を好きじゃないのは味(脂くどいとか)ではなく育て方なのです。

さて、牧草をたっぷり食べて、地元有志のみなさんのご協力の下、自然のまま育っているプレミア近江牛(これも名前を変えなければいけませんね)、10月より本格的に出荷がはじまります。

だれかれもが好む肉ではないかも知れませんが、安全性を重視し、健康に気をつかっている方にはぜひ食べていただきたいです。わくわく定期便の会員様には優先的にプレミア近江牛でメニューを組み立てさせていただきますのでお楽しみにー。

 

 

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