融点が低いからくどくない?そんなことはないと思う
公開日:
:
2012/07/28
近江牛
現在販売中の近江牛(橋場牧場)の評価がすこぶる良い。
格付けA3ではあるが、モモにもサシが入りすばらしくキレイなのだ。
個人的にサシを好まない私は、販売前に念入りに試食を重ねた。
しかし、まったくしつこくなく、スッキリとした脂質に驚いた。
通常200gのステーキを完食できない私がペロっと食べられてしまったのだ。
〝よくA5の雌牛は融点が低いからサシの多い肉でもあっさりしている〟
このような誇大キャッチコピーを見かけることがある。
30g程度(1~2枚)の焼肉を食べるなら問題はないかもしれないが
200gのステーキはどう考えたって食べられるわけがない。
(もちろん食べる人もいる。これはあくまでも一般的な話だ)
カナダのマーク・シャッカーという方が書いた著書に
思わず座布団3枚(古っ)という名言が書かれていたので紹介したい。
著者は世界一の牛肉を探す旅で日本を訪れたときに食べた某ブランド牛を称して
このように感想を述べている。
脂を食べ過ぎた時によく起こる状態
疲労と倦怠感、そして猛烈に愚かな気分と戦っていた。
二年前にケベックで、旅行雑誌の記事を書くための取材で六日連続一日二回
フォアグラを食べたときが一番ひどかった。
今回は、液状の脂が動脈を通って、脳のシナプスをベタつかせているような気分。
僕は、ミート・ハンガーと対極にあるベジタブル・ハンガーに陥っていた。
生のキュウリが食べたい。ドレッシングがかかっていないサラダを今すぐ食べたい。
私は10年前に滋賀県内の牧場を1年がかりで歩いた。
トレーサビリティシステムを構築するために、
生産者情報を動画で公開するための取材だ。
そのときに、見た目よりも味にこだわりたいと
おっしゃっていた12牧場のうちの1つが、現在販売中の生産者、橋場牧場さんだ。
出荷するたびに、すべてが理想とする牛肉というわけにはいかない。
それが生き物であり畜産なのだ。
だから、A5だから、雌牛だから、融点が低い・・・
といったキャツチコピーは、鵜呑みにしてほしくない。
もう一度言います。
生産者と協働でエサ作りからしている肉屋は全国でも珍しく、
そんな当店でも、サシのある牛肉は食感がくどく仕上がってしまうことが多いのだ。
だから、「いいものを少しだけ」という買い方をすすめている。
今回の橋場さんの牛肉のように、あっさりとしていて旨味を感じられる牛肉は
確率的には低いのだ。
ということで、現在販売中の近江牛、
赤身好きな方にもおすすめさせていただきます。
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