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経産牛の地位向上を目指して

公開日: : 2013/06/04 雑記

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綾部さんの花房和牛(経産牛)の50日熟成サーロインを昨夜食べたのですが、いやぁー、おいしかった。定番の鹿児島県産の熟成肉との違いは、サシが入っている分、噛んだときにかなりジューシー感があります。口の中で旨味がぶわっーと広がる感じです。かといってクドいわけではなく、500g程度ならストレスなくおいしく食べられるかなと思います。

さて、経産牛に関しましては、今後も継続して販売を続けていきます。「ブランド牛×高価=おいしい」と思っている方が多いようですが、けっしてそんなことはありません。ブランド牛でもおいしくないものもありますし、逆にだれも知らない、聞いたこともないような牛肉がおいしかったりするわけです。そのあたりを見極めて、なんとかおいしくしてみなさまにもご紹介させていただきたいと思っています。もちろん前提は私が食べたいかどうかですけどね。

近々では、岩手の佐藤さんが大切に育てている経産牛を私に託してくださるので、夏の終わりころには、販売できるかと思われます。昨日、Facebookのウォールに佐藤さんが写真付きで投稿されていました。すごく感動的な内容なので共有させていただきます。

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お産して100日余りになる いとぎく2(安平ー糸弘2ー安福(岐阜、)平成12年生まれでもう13歳になる。子牛を売る立場から言うと、もう高齢牛となり、産子は中々競ってもらえない状況だ。そこでそろそろお役御免としたい。でも10年余りに亘って働いてくれた牛成牛市場で投げ売りでなく、最後の最後まで、美味しかったよご苦労さんと送りだしたい。高齢牛でもドライエージングによって肉が軟らかくなり風味を増す、ということでサカエヤさんに託すことにした。

2月半ばに生まれた子牛もだいぶスターターを食べるようになってきたのでそろそろ離乳しよう、約1か月飼い直しし栄養、体力の回復に努め7月上旬屠畜の予定。現在は乾草と稲ホールクロップを給与、あとは配合飼料2Kg位とビール粕(バガス入り)を3Kg程与えている。

↑ ここまで

ところで、あたりまえのように経産牛って書いていますが、もしかすると知らない方もおられるかもわかりませんので、少しわかりやすく解説させていただきます。牛さんで重宝されるのは昔も今も若さあふれる処女牛なんです。つまり子供を産んでいない未経産牛ということです。一方、出産経験のある経産牛は市場価値が低いんです。 

牛さんの世界は、雌は肉牛として育てられるのと、繁殖用のお母さん牛として育てられる2通りにわかれます。双方は飼育の目的が違うので、出産を経験したお母さん牛は、ピチピチギャルの未経産牛より肉質が劣るというわけです。

経産牛のその後は、廃牛扱いで、店頭に並ぶことはありません。百貨店はもちろんのこと、スーパーでも経産牛の精肉(すき焼きやしゃぶしゃぶなど)を見かけることはまずないと思います。価値がないということで、どうがんばっても加工品に使われる程度です。

そこでどうするかというと、佐藤さんも書かれていますが、飼い直しといって穀物飼料を与えて肉をつけるのです。そういう過程を経て出荷されるのですが、それでも市場価値は低く、二束三文なのです。ちなみに滋賀では経産牛は結構高値で取引されます。とはいっても精肉用ではなく、加工品用の肉が不足しているだけなのですが。

私は販売側の人間ですが、10年以上、生産者の代弁者として情報発信し続けてきました。おかげで牛さんのことも肉のことも、消費者の気持ちも少しだけですが分かっているつもりです。生産者は、長年尽くしてくれた牛さんを少しでも高く売りたい、そして、できるなら未経産の牛さんのようにおいしいお肉となって消費してもらいたい。ぜったいそう思っているはずなんです。

だから私は、「経産牛をどうにかおいしくしたいなー」ということでせっせとドライエージングしているわけなのです。

私がドライエージングする肉は、A4やA5ではなく、A3以下の市場価格がつきにくいものばかりです(近江牛はA3でも高いのですが)特に経産牛に関しては、長いことがんばってくれたな、ご苦労さんやったなと声をかけ、おいしく食べてやることが、命を差し出してくれた牛さんへの愛ある行為だと思っています。

私も生産者のはしくれとして、どうすれば硬い肉質が柔らかくなり、黄色い脂がおいしくなるのかと、いろいろ考え試行錯誤を繰り返した結果、ドライエージングに辿り着いたのです。

おかげさまで、たくさんの料理人の方から支持され、経産牛のほうがおいしいとの声もいただいてまして、世のお母さん方からは、子供を産んだオンナをなめたらあかんでー、若い子には負けへんでー、経験と味が勝負や!、なんてドキドキするような声もちらほらいただいております(笑)

さて、佐藤さんの経産牛も楽しみですが、木下牧場の初代お母さん牛(16産の大活躍)が昨日、熟成庫へ入りました。7月25日頃においしくなって販売開始となりますので、これはすごく期待できますよ。お楽しみに。

木下牧場からはさらにビッグニュースがありまして、これはまた明日にでも書きます。

 

 

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