新年あけましておでとうございます!
公開日:
:
2017/01/03
コラム
肉がよければ何も余計なことをしなくてもいいんです。そのままで十分おいしいんですから、寝かせたり熟成させたりする必要はないんです。でも、そうじゃない肉もたくさんあるわけでして、それを見極めるのが肉屋の私たちの仕事です。問屋さんの仕事は枝肉の見極めですが、肉屋の仕事はおいしさの見極めだと思っています。
例えば、水分量が多くてぶよぶよな肉が目の前にあるとします。当然そのままでは販売できません。しっかり水分を取ってやり、すき焼きにするのか焼肉にするのか、食べ頃はいつなのか、お客様はいつ食べるのか、もうね、いろんなことを想定しながら「手当て」しなければいけないので頭がパンクしそうになるときがありますが、それがまた楽しいのです。
内臓が入荷すればどんなに忙しくても早急に下処理しなければすぐに鮮度落ちしてしまいます。氷水でよく洗い、適度な湿度を与えて冷蔵庫で保管します。冷凍保管する場合なんかは水分を含ませて真空パックにします。部位ごとによって手当ての仕方が変わってきますからたくさん触って経験を積まなければ答えが出ません。
元日は家で焼肉でした。焼肉は焼肉屋さんで食べたほうがぜったいおいしいですから、滅多なことでは家では食べないのですが、店で試食する時間がなかったこともあり、私にしては珍しく家で焼肉でした。これが驚くほどおいしくて、翌日も調子に乗って焼肉にしたのです。ところがおいしくなかったのです。同じ肉なのに・・・
おそらく、切り方を変えてみたのが原因でしょう。いやぁー、怖いですね。何度も言いますが同じ肉なのに・・・ですよ。
新年早々、気が引き締まるような思いでしたが、今年も真剣にまっすぐに肉のことだけ考えて一年を楽しみたいと思います。
関連記事
-
-
肉汁は肉によりけり焼き方によりけり正解もなく不正解もなく
肉の繊維の断面を先に焼いてから内部の水分を閉じ込めてから焼く云々・・・ この先の文章で
-
-
食材を語り料理を語り酒を語ることもおいしさの一部だと思うのです
愛農ナチュラルポークのロースト(銀座レカン/高良シェフ)と三重県伊賀の妙の華(森喜酒造場)の
-
-
おいしい料理はきれいな厨房からしか生まれない
僕がいままで感動した料理を作り出す厨房はどこもピカピカだ。汚れた厨房を見るとイライラする。汚
-
-
先達から学ぶ仕事への向き合い方と姿勢
弥助の大将が握る寿司を食べたいがために金沢へ行ったことは1度や2度じゃありません。残念ながら
-
-
どんなにいい肉であっても職人の技がなければどうしようもない
写真のランプは個体情報が示す通り、昨年の11月10日にと畜後、同月19日に当店に入荷