枝肉から捌く醍醐味こそ肉屋のおもしろさ
公開日:
:
2016/11/23
コラム
我々の業界で言うところの「捌き」とは、枝肉から大分割して、さらに中分割したロースやウデ、バラから骨を抜く(外す)までの作業のことを言います。骨を抜いた後は部位ごとに小割りして筋引後(筋をとること)精肉に仕上げます。
いま「捌き」が注目されつつあります。肉の旨味を追求すればするほど、手間はかかるのですが、骨付きで仕入れて、肉の状態を見極めながら自らが骨を抜いたほうがよりおいしく提供できるのです。
捌きは、みなさんが尻込みするほど難しくはありません。ただ、厳密に言うと骨の抜き方によっては、その後の処置の仕方が変わってきます。このあたりになると、捌きは奥深く経験がものを言います。
過去に料理人の方の捌きを拝見したことがありますが、骨を抜くと言うより骨をむしっている、あるいは、力任せに引っこ抜いているといった表現がぴったりでした。
肉は骨を抜いた時点で酸化していきます。だから骨があった付近から腐敗が始まります。包丁が1センチ深く入っただけでも変色の原因になります。
いますぐに使う場合には問題ありませんが、熟成させる場合は、捌き方も変わりますし、筋膜を付けるやり方もその一つです。このあたりは技術になるのですが難しいですね。
年齢とともに体力も衰え、長年酷使した代償で手首は腱鞘炎がひどく、思うようにいかないこともありますが、この世界に入ったときから枝肉に教えられ、育ててもらったようなものですから、やり続けて技術を残していければと思っています。
関連記事
-
-
霜降りがおいしくなくなった理由
霜降りは最近年のせいかあまり食べられなくて・・なんて声をよく聞きます。確かに年のせいも多少は
-
-
ブランドや格付け、生産者名で肉が売れる時代は終わりに近づいている
うちの店で格付けを気にしながら買い物されるお客様は僕が知ってる限りいないと思う。商品プレート
-
-
牛舎で見るところは天井
ある雑誌の取材で「牧場へ行ってどのようなところを見ますか?」という質問がありましたが、正直な
-
-
BSEの教訓を活かして
久しぶりにAmazon prime videoで震える牛を観た。BSE、食品偽装、当時の記憶が鮮明に
-
-
牛肉はなぜアクがでるのか、肉屋的な見解というか僕の見解
中古で買って25年くら経ったかな。肉屋が中古のスラーサーを買う場合、ほぼ100%倒産した同業