*

枝肉から捌く醍醐味こそ肉屋のおもしろさ

公開日: : 2016/11/23 コラム

img_3204

我々の業界で言うところの「捌き」とは、枝肉から大分割して、さらに中分割したロースやウデ、バラから骨を抜く(外す)までの作業のことを言います。骨を抜いた後は部位ごとに小割りして筋引後(筋をとること)精肉に仕上げます。

いま「捌き」が注目されつつあります。肉の旨味を追求すればするほど、手間はかかるのですが、骨付きで仕入れて、肉の状態を見極めながら自らが骨を抜いたほうがよりおいしく提供できるのです。

捌きは、みなさんが尻込みするほど難しくはありません。ただ、厳密に言うと骨の抜き方によっては、その後の処置の仕方が変わってきます。このあたりになると、捌きは奥深く経験がものを言います。

過去に料理人の方の捌きを拝見したことがありますが、骨を抜くと言うより骨をむしっている、あるいは、力任せに引っこ抜いているといった表現がぴったりでした。

肉は骨を抜いた時点で酸化していきます。だから骨があった付近から腐敗が始まります。包丁が1センチ深く入っただけでも変色の原因になります。

いますぐに使う場合には問題ありませんが、熟成させる場合は、捌き方も変わりますし、筋膜を付けるやり方もその一つです。このあたりは技術になるのですが難しいですね。

年齢とともに体力も衰え、長年酷使した代償で手首は腱鞘炎がひどく、思うようにいかないこともありますが、この世界に入ったときから枝肉に教えられ、育ててもらったようなものですから、やり続けて技術を残していければと思っています。

 

記事が気に入ったらシェアをしてね

  • twitter
  • facebook
  • google+
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

保護中: ③BSEから学んだこと

国産飼料で育てた近江牛。見えない輸入の飼料ではなく飼料も見える化したいという取り組みだ。つまり、BS

記事を読む

健康な育て方=おいしい牛肉だとは限らない

精肉の仕事をしてもうすぐ40年になります。不器用ながらも一つのことをやり続ければなんとかなる

記事を読む

どんなにいい肉であっても職人の技がなければどうしようもない

写真のランプは個体情報が示す通り、昨年の11月10日にと畜後、同月19日に当店に入荷

記事を読む

牛と自然、健康について日々思うこと

先週入荷したばかりのジビーフ「じゅうべい」。名ずけ親は京都の「草喰 なかひがし」の大

記事を読む

技術を教えるよりも礼儀作法と掃除が数年後に大きく成長する基礎となる

たまにですがこんな僕にも取材があったりします。あるライターさんは僕の言葉は文章にしにくいので

記事を読む

和牛・牛肉通販 近江牛.com

https://www.omi-gyu.com
仕事の奥深さ

本日から11月、しかし一年あっという間でなんか怖いですね。同級生ですで

所作

写真は、昨夜、BRUSTAで食べた近江牛ウチヒラ。西山さんはワ

今月のジビーフも2頭入荷しています

↑ はるか 今月も2頭のジビーフが入荷してきました。「はる

→もっと見る

  • 2024年4月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930