牛肉のスミについて
公開日:
:
2016/12/15
コラム

サーロインの脂側にグレーのラインが肉に入り込んでいるのが確認できるかと思います。牛肉の業界では「スミ」と呼ばれるものですが、私はこの言葉があまり好きではないので「食べ頃サイン」と呼んでいます。ややこしいのでここでは「スミ」で表現します。
では、なぜ「スミ」が入るのか?… かなり前になりますが、枝肉を長年扱っているベテランの職人さんに聞いたことがありますが、理由は曖昧で「空気が入っているから」と答える方がほとんどでした。じつは私もそう思っていまして、もう少し掘り下げると「環境温度」が原因だと思うのです。
肉を保管している冷蔵庫から作業台に移せば温度が変わります。特に長時間放置している場合や焼く前に常温に戻している場合など、肉の表面と中の温度差からなる現象だと考えられます。
骨付きのまま冷蔵庫に保管しておいて、注文ごとに切り分けすぐに元の冷蔵庫にしまえば「スミ」は発生しないと思われますが、肉の表面の温度が高くなってしまえば「スミ」が発生する確率が高くなります。
つまり、0℃で冷やされた肉の塊を作業場でカットすれば時間の経過とともに肉の温度が上がります。温度が上がった肉をふたたび冷蔵庫へ戻すと、肉は時間をかけて0℃になります。0℃(冷蔵庫)⇒15度(室内作業場)⇒0℃(冷蔵庫)といった感じです。
ということで、「スミ」は温度変化が原因であり、もちろん食べても問題はありませんし、おいしく食べられるサインだと私は判断しています。
関連記事
-
-
牛を屠畜して解体する
牛の眉間にノッキングガンを撃ちつける。ドンっという鈍い音とともに牛は気絶して倒れた。すぐに首
-
-
柔らかい硬いの評価ではなくおいしいかおいしくないか
前みたいに気の合う仲間と飲んだり食べたりしたいですよね。なんか数ヶ月前のことが遠いむかしのこ
-
-
A5の発生率か多くなる11月にふと思うこと雑談
来月になると年末年始に向けて枝肉の共進会や共励会が開催されます。簡単に言うと枝肉のコンテスト
-
-
基礎をしっかり学んだあとは自分の踊り方で踊ればいい
すばらしい制度!!! 肉屋の技術に正解も不正解もない。何十年もやっていると自分のスタイ
-
-
肉を知るには肉屋へ通い肉屋で学ぶ
あちこちから肉の勉強会のお誘いがある。先日なんか交流の薄い知人の知人からお誘いがあって、それ


















