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肉をみて触ってどう処置するのか、肉屋の仕事は医者と似ている

公開日: : 2015/09/27 熟成肉, 店・料理人

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シェフからの要望も様々でして、こちらはクラシタ(肩ロース)のネック部分のみ骨を残したパターンです。この時点で30日枯らしています。で、どんな料理になるかと言いますと・・・

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食べようとした瞬間に、あぁ写真写真というみなさんもよくやる(笑)パターンです。高確率でブレますね。

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こちらのロースで枝枯らしで40日程度ですがいい感じで断面が乾いています。骨を抜く見極め(タイミング)は目視と感触だけなのですが、毎日肉を見続けて骨を抜いて触っていればだいたいの抜き頃はわかります。肉は骨を抜いた瞬間から酸化がはじまりますから、当店ではできる限り骨付きの状態で吊るしておきます。ただ、個体によっては新しいほうが良いと判断することもありますので、その場合はすぐに骨抜きして商品化します。このあたりは部位によって異なりますので数多く触って経験するしかないですね。

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こちらの骨付きランプで50日経過しています。枝枯らしも広い意味では熟成ですが、DAB(以下ドライエイジングビーフ)とは異なり香りがつきません。正確には長期で吊るして微生物が付着すると微量な香りはするのですが、DABにみられる特有のナッツ香がしないので、逆に香りが苦手な方にはこちらがおすすめです。

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DABにしろ枝枯らしにしろ、基本は骨付きです。最近、飲食店や肉屋の店頭で熟成肉をディスプレーしている場面をよく見かけますが、これらをDABと表示するには強引な気がします。というのも、骨を抜いた肉を吊るしているものがほとんどですから、先にも書きましたが、肉は骨を抜いた瞬間から酸化し腐敗に向かいます。もっともやってはいけないのが、問屋から仕入れた真空パックの肉を開封して陳列しているケースです。こういった無茶をした肉は雑菌が付着して腐敗するスピードも早いのです。

店頭に設置しているショーケースは保管庫としては効果的ですが、あくまでも保管庫であり、DABにはなりません。どこか他の環境下においてDABした肉をディスプレーする分には問題ないと思いますが、と畜から枝肉にした状態の肉をDABとして完結させるには少し無理があるように思われます。

さて、DABを使うにあたり気になるのが歩留りです。どうしても表面が変色しますので削る部分も多くなります。実際は個体差や部位、保存状態によって異なりますから使ってからの判断しかありません。

枝枯らしやDAB、さらにウェットエイジングets… いったいどれがいいの?という話ですが、使ってみて自身の気にいったものをお客様に提供するのがいちばんだと思います。私の場合は、枝肉をみてフレッシュで提供するのか、DADがいいのか、はたまた枝枯らしがいいのか、フレッシュの場合はさっさと骨抜きして部位ごとに真空をかけますし、枝枯らしの場合は真空はしません。このように肉の特性によって保存方法も違ってくるのです。

それと料理の用途によっても異なりますね。枝枯らしだとステーキはもちろんですが、すき焼きやしゃぶしゃぶ、焼肉とほとんどの料理に適していますが、DABはなんといってもステーキです。

ということでちょxとばかりご案内です。映画監督のフランク・リヴィエレと精肉店の店主イヴ=マリ・ル=ブルドネックが、“世界のおいしいステーキベスト10”を決めるために世界20カ国、200以上のステーキハウスを巡るドキュメンタリー映画「ステーキ・レボリューション」が10月17日より全国順次ロードショーになりますが、公開に先がけて“ステーキキャンプ”なるものが10月3日(土)千葉県 昭和の森フォレストビレッジ フリーテントサイトにて行われます。

大自然の中「ステーキ・レボリューション」のプレミア星空上映を楽しもうというもので、同イベントでは上映に加えてフランスと日本の肉の食べ比べ大会「バトル・オブ・ザ・ブッチャー」が実施されます。

私は参加しませんが、イヴ=マリ・ル=ブルドネックの指名もあり、木下牧場の骨付きロースを用意させていただくことになりました。ご興味のある方はぜひお出かけください。料金は5000円だそうです。関係者ではないので詳しくは知らないのですが、友人の肉屋と私が手がけた肉が出ますのでご案内でした。

 

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