*

昔の肉を追い求めて

公開日: : 2015/04/06 近江牛, 近江プレミアム牛

IMG_3707
テレビ局の方から「新保さんが考えるおいしい肉とはどのような肉ですか」と質問されました。肉質や色、テクスチャーなど、細かなことを言いだしたらきりがないのですが、一言でまとめると「昔の肉」かな。昔の肉といっても意味不明だと思いますが、私が修行時代に普通に販売して食べていた肉です。その当時は格付けもなく、生産者もビジネスに固執しすぎない牛飼いをしていたように思います。

サシが入った肉でも、若かったこともあるでしょうがいくら食べても胃袋は受け入れ、食べ飽きないクリアな肉が多かったように記憶しています。果たしてサシを追い求めるいまの和牛に私が求めるような肉があるのだろうか・・・

確かにA2やA3の肉であれば、サシも少なくて赤身が多くたくさん食べられるし胃もたれもしない。ただ肉の旨味は脂なので矛盾しているようですが、赤身が多い肉は旨味に欠けるし食べ飽きるのです。両方の良さを兼ね備えた肉、それが私が追い求めている肉なのです。最近、なんとなくですが探していた肉に辿り着けそうな感じなのです。

写真は、某シェフの取り置きロースですが、骨付きのまま真中でノコギリを入れてみました。A3の肉ですがA4レベルなサシの入りようです。サシが入っていて困ってしまう肉屋もおそらく珍しいと思うのですが、私が求めているものとシェフの求めているものとかけ離れている肉は販売するわけにはいきません。すぐにシェフに電話をして事情を話し、他のシェフの取り置き分と交換することに。

IMG_3709

こちらは木下さんのB3です。脂が多いのでBランクに落とされたのでしょうが問題ない範囲です。これでもサシがありすぎるのですが、逆にこれくらいないと酸と余韻を引き出せないようにも感じます。あとは管理次第でどこまでおいしくなってくれるかなのです。

IMG_3708

もう1本、こちらは近江プレミアム牛です。格付けはA2です。かなりいい感じで私の理想とする肉に近いです。

このようにシェフの好みを把握しながら仕上げていく肉作りは、かなり難しい反面、興奮するほど楽しいのです。

 

記事が気に入ったらシェアをしてね

  • twitter
  • facebook
  • google+
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

プレミア近江牛と3種の和牛を官能検査で数値化してみるとおもしろい結果がでた

おいしいものを少しだけ まさしくそんな言葉がピッタリな一皿だ。 この一品は、7月

記事を読む

まさしくハレの日のご馳走になりつつある牛肉事情

滋賀では週2回(月・木)に市場でセリが開催されるのですが、今日のセリは異常なほど高値でした。

記事を読む

牛のストーリーとともに価値ある牛肉を

この肉に価値を見いだせる人ってどれくらいいるのだろうか。 215ヶ月齢の経産牛、しかも

記事を読む

近江牛を熟成させるには大ザシより小ザシで枝重も400kgまでがベスト

熟成肉ブームも完全に落ち着き、踊らされず巻き込まれず信念をもって黙々とやってきたところが残っ

記事を読む

神戸bb9で坂井シェフの薪焼きに魅了された3時間は余韻をひきずりまくるほど幸せなひとときでした

看板がない、と思ったら・・・ よーく見ないとわからないほど小さかった(笑)

記事を読む

和牛・牛肉通販 近江牛.com

https://www.omi-gyu.com
仕事の奥深さ

本日から11月、しかし一年あっという間でなんか怖いですね。同級生ですで

所作

写真は、昨夜、BRUSTAで食べた近江牛ウチヒラ。西山さんはワ

今月のジビーフも2頭入荷しています

↑ はるか 今月も2頭のジビーフが入荷してきました。「はる

→もっと見る

  • 2024年4月
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    282930