昔の肉を追い求めて

テレビ局の方から「新保さんが考えるおいしい肉とはどのような肉ですか」と質問されました。肉質や色、テクスチャーなど、細かなことを言いだしたらきりがないのですが、一言でまとめると「昔の肉」かな。昔の肉といっても意味不明だと思いますが、私が修行時代に普通に販売して食べていた肉です。その当時は格付けもなく、生産者もビジネスに固執しすぎない牛飼いをしていたように思います。
サシが入った肉でも、若かったこともあるでしょうがいくら食べても胃袋は受け入れ、食べ飽きないクリアな肉が多かったように記憶しています。果たしてサシを追い求めるいまの和牛に私が求めるような肉があるのだろうか・・・
確かにA2やA3の肉であれば、サシも少なくて赤身が多くたくさん食べられるし胃もたれもしない。ただ肉の旨味は脂なので矛盾しているようですが、赤身が多い肉は旨味に欠けるし食べ飽きるのです。両方の良さを兼ね備えた肉、それが私が追い求めている肉なのです。最近、なんとなくですが探していた肉に辿り着けそうな感じなのです。
写真は、某シェフの取り置きロースですが、骨付きのまま真中でノコギリを入れてみました。A3の肉ですがA4レベルなサシの入りようです。サシが入っていて困ってしまう肉屋もおそらく珍しいと思うのですが、私が求めているものとシェフの求めているものとかけ離れている肉は販売するわけにはいきません。すぐにシェフに電話をして事情を話し、他のシェフの取り置き分と交換することに。

こちらは木下さんのB3です。脂が多いのでBランクに落とされたのでしょうが問題ない範囲です。これでもサシがありすぎるのですが、逆にこれくらいないと酸と余韻を引き出せないようにも感じます。あとは管理次第でどこまでおいしくなってくれるかなのです。

もう1本、こちらは近江プレミアム牛です。格付けはA2です。かなりいい感じで私の理想とする肉に近いです。
このようにシェフの好みを把握しながら仕上げていく肉作りは、かなり難しい反面、興奮するほど楽しいのです。
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