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幸せな生き方をした牛はいい肉になる

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ようやくジビーフの出荷が決まりました。GW前後のと畜が可能との連絡をいただきましたが、5月11日からフランスなので帰国後の23日に入荷することとなりました。ちょうどこのころにジビーフがテレビ放映されることもあり(ちなみに全国放送です)いまからワクワクドキドキしています。

今日届いた雑誌にイタリアの精肉業、ダリオ・チェッキーニのことが書かれていた。ダリオの肉を求めて世界中から人が集まる。フランスでいうところのイブマリやユーゴのような存在だ。

ダリオが考える理想の肉とは「よく生き、よい死を迎え、よい肉屋とよい料理人に扱われたすべての肉」だという。肉を断片的に捉えるのではなく生命の塊として受け止める。つまり肉ではなくあくまで牛として、生き物としてみているということだ。

私は肉を乱暴に扱うスタッフに対してはひどく叱ります。忙しくて雑な仕事をしても同様です。私たちが扱っているのは肉ではなく牛という考えで人間が食べるために殺すのです。肉になった塊だけを見て仕事をすると元の姿をついつい忘れがちになります。だから時々牧場で生きた牛を見せるのです。そして肉は捨てるところなくすべて使い切ることを厳しく指導します。もちろん自分自身にも課します。

どうすれば目の前の肉がおいしくなってくれるのか。そればかり考えています。すぐに使うのか、吊るすのか、それとも熟成させるのか。肉によって水分の多いものもあれば肉色が濃く変色しやすいものもあります。どのように管理すれば最適なのか、適切な判断ができるようになるには経験を積むしかありません。肉のプロは食べなくてもある程度の味は想像できます。特に枝肉を扱っている肉屋はそのあたりの感覚が鋭いように感じます。このあたりも経験であり場数だと思うのです。

このブログはうちのスタッフも読んでいるので、今日はメッセージ的なことを書きましたが、私が伝えたいことは、我々が扱っているのは肉ではなく生きた牛であるということです。

もうひとつ、ダリオは「幸せな生き方をした牛はいい肉になる」といいます。私がお付き合いしている全国の生産者は家族仲良く、自分たちの目が届く範囲内で無理することなく牛飼いをしています。牛とともに子供たちも育ちます。血統やエサも当然ながらおいしさには関係があります。でも、ダリオの言葉はそれを超越したもので、思い当たる節がたくさんあるのです。

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