肉焼きの上達法はどれだけ場数を踏むかだと思うのです
写真は近江プレミアム牛ですが吊るしてちょうど30日目です。ウチヒラとシンタマはすでに10日目と20日目に外しているので、本日ソトヒラを外して残るはランイチのみ、あと10日もすれば某シェフからオーダーがあるでしょう(笑)この骨付きモモは1本まるまるシェフから預かっているだけで、私が管理しています。いくらなんでもこの塊をレストランの冷蔵庫で保管するのは無理がありますからね。
部位ごとに日を分けて骨を外していく場合、通常の捌き方とは違って少し変わった外し方をします。ご覧のような歪な形になるのですが、ゆっくり水分を抜いて肉を育てていくイメージです。フレッシュな状態でウチヒラを外して他の部位は徐々に水分が抜けて枯れていきます。ただ、すべての肉をこのようにしているわけではなく、枝肉の段階で見極めながらすぐに捌くのか、吊るすのかを決めていきます。
20日程度吊るして乾かしておいた木下牧場のシンタマを京都の某店でいただきました。炭火で焼かれる様をカウンター越しに見ていたのですが、やはりというか火の通りが早かったです。木下さんの肉の特徴でもあるのですが、他の生産者の肉と比べるとかなり火の通りが早いのです。シェフは5時間かけて常温に戻してから焼いたそうなのですがピークを見つけるのが難しいとのことでした。もしかするとさっと焼いて余熱だけで十分だったのかも知れませんね。
とはいうものの、焼き手も食べ手も好みがありますし、ヨシッ!と思える瞬間はシェフとお客様の好みの合致だと思うのです。この日もカウンターの並びに座っていた男性客が、私にも聞こえるくらいの声で「この肉うまいわー!」と言っていたのですが、シェフ曰く理想に近い火入れだったと言ってましたからお客様とシェフの呼吸が合致したのでしょうね。
炭火の魅力はなんといってもプリミティブな行為ですし、外側をガリガリに焼いて中はほんのり温かな肉汁を感じる程度が私はおいしいと思うのです。あ、これも私の好みでありしっかり火を通したほうが好きだという人も当然いるでしょう。
これは京都の某店ですが、薪を使うシェフがここ最近増えてきましたね。私は薪の知識はまったくないのでなんら語ることはできないのですが、原始的な調理法だからこそ肉の特性がでやすいのかなと思ったりします。
総括すると、肉焼きは、肉の種類や道具によっても変わってくるだろうし結局は枚数を焼き、道具を使い倒して感覚を掴むしかないように思うのです。
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