辿り着けるのは一部の人だけ
公開日:
:
2014/12/23
近江プレミアム牛


現在発売中の東京カレンダーに近江プレミアム牛、愛農ナチュラルポーク、ジビーフが紹介されているではないか。我“希少肉”ヲ愛すということで、欲しくても手にはいらない肉をマッキー牧元氏がご紹介くださっている。
IL GiOTTO(イルジョット)の「辿り着けるのは一部の人だけ」というキャッチがシビれるではないか。これは大袈裟でもなんでもなくまさしくそのとおりなのだ。
昨夜は名古屋の取引先で肉を食べ、朝一の新幹線で帰ってきたのだが車内の雑誌に近江牛が掲載されていた。近江牛とは・・・というくだりのところではお決まりの細かなサシが入り融点が低いため口どけが良くとろけるような食感で… というようなことが書かれていた。「近江牛・細かなサシ・とろける」というのが近江牛を指すワードのようになっている。
果たしてほんとうにそうなのだろうか。確かにそういった牛の肉もあるにはある。ただすべてを一括りにしてしまうほど牛の肉は簡単なものではない。近江牛に限らずこういった定義は信憑性にかけるものばかりだ。
近江牛のように和牛は、ほとんどの場合がサシを入れることを大前提として肥育している。カネにならない赤身にしようなどと思っている農家はおそらくいないだろう。赤身ブームで需要が増えてきたといっても和牛が追い求めるのはいままでもこれからもサシなのだ。今後はサシを入れつつどうすればおいしくなるのかという味の部分にも力を入れていくことになるとは思うが、マスコミが騒ごうがどうしようが和牛はどこまでいってもサシでありそれが魅力なのだ。
もちろん和牛でもC1とかC2クラス(格付けのことです)ならホルスタイン並の赤身だが、一般的に和牛におけるイメージでわざわざC1を想像する人はいないだろう。
そんななか、赤身になるように国産飼料だけで、しかも牧草中心の飼料を与え、穀物飼料は一切給餌せずに取り組んでいるのが近江プレミアム牛なのです。取り組み当初は赤身になるはずだったのだが蓋を開けて見ればロース系にはしっかりサシが入っていました。訳が分からなかったのですが、あれこれ調べた結果、サシが入ってしまう理由は血統でした。和牛は改良を繰り返して今日に至っているので血統がかなり肉の良し悪しに影響してくるのです。肉の良し悪しと言うのは味ではなく見た目、すなわち格付けのことです。
近江プレミアム牛は、アンガス種(ジビーフはアンガス種です)のように強くないので、まず仔牛の段階で牧草中心の飼育に耐えられるかどうかの選別からはじめます。そのためにまず過去の成績からA4やA5になるような血統は省きます。なおかつ牧草中心の飼料に耐えられる個体を選ばなければいけません。
かなり手間のかかることを行っているのですが、だからこそ1ヵ月に1頭しか出荷できないのです。扱っているレストランも少なく当然ながら辿り着けるのは一部の人だけということになります。
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