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今月の近江プレミアム牛在庫状況

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10月に出荷した近江プレミアム牛は枝重291kgだったが、今月出荷分はさらに小さくて201kgだった。これがどれだけ小さいかというと、市場に出回っている枝肉の重さは、500kg前後で賞狙いで肥育しているものは600kg~700kgというBIGなものも最近では珍しくなくなってきた。

私は大きな枝肉が好みではないので、木下牧場さんにはできる限り小さく育てるようにとお願いしている。現状、生産者の価値観は「サシ」であり、いかにサシを入れるかで対外的な評価が変わってくる。そのためにサシが入りやすい血統の子牛を導入することが多い。もちろんサシが入りやすい血統の子牛は人気があるので子牛市場でも高値で取引される。期待して育てても確率的にA5発生率が高いというだけで確約ではない。しかも、そこときの相場が下落していたら大赤字になりかねない。

生産者から見た和牛の価値観というのは、「サシ」であり、そのためには血統を重視し、増体しなければならない。わかりやすくいえばA5狙いの牛ばかりを作っていかなければ牧場経営が成り立たないのだ。そのために飼料設計をしてトウモロコシなどの穀物飼料をたくさん食べさせるわけです。牛は本来草食動物なので穀物ばかり食べさせると当然ながら体(内臓も含む)に負担がかかります。ならばと体内バランスをとるためにビタミンを補給するのですが、今度はビタミンが邪魔してサシが入りにくくなる。それならばビタミンをやらなければいいじゃないかと。

肉にサシを入れるのもそりゃ大変なのです。牛のキモチなんて考える余裕ないんです。10円でも高く売れなければ持続できないのが肉牛における牧場経営なのです。

それは分かるし理解もしています。でも、こういう考え方ってどう思いますか。10年前にこんなことを思ったのです。牛に与えるエサは自分たちで種を蒔いて刈り取った牧草であり、隣近所から分けてもらった飼料であり、放牧場で運動させたり日光浴なんかして、自然のままに育てる。無理やりサシを入れない。そうやって育った肉がめちゃくちゃおいしかったらどうだろう。サシがなかっても高く売れるんじゃないだろうか。そこに価値を認めてくれる人たちが必ずいるはずだ。いや、いまはいなくても必ずそういう時代がくる。

こんなことを口八丁手八丁で語りながら嫌がる木下さんを口説き落として(その気にさせて)国産飼料だけで育てる牛プロジェクトがスタートしたのです。まず賛同してくれたのが、きたやま南山の楠本貞愛さんと孫貞麗さんでした。「肉がうまいんやったらそんでええやん!ビタ欠してサシ入れてそんなことした牛さんの肉がおいしいとは思われへんわ」とオトコマエなことをおっしゃるわけです。でもね楠本さん、サシが入らない肉は市場評価が低くて経営が立ち行かなくなるんです。

すると、「あんなぁ、私らが適正価格で支えていたったらええやないですか」とこれまたオトコマエなことをおっしゃるわけです。

とまぁ、こんな感じで「サシ=価値」から「味=価値」の取り組みがはじまったのです。そうするとどうでしょう、健康に育てた肉のおいしさに目覚めた方々が自ら伝道師となり広めてくださったのです。そこには医師であったり、学校の先生や料理人であったりと様々な人たちがネットワークを作ってくれました。

まさしく、「信頼できる生産者から信頼できる料理人へ、そして消費者へ」が自然と出来上がっていったのです。

11月出荷分の近江プレミアム牛もすでに全国の料理人からたくさんのご予約をいただいています。私が試食した感想は、「肉に味がついている」これにつきます。手に入れた方はぜひ確認していただきたいです。間違いなく飼料の影響が味に色濃く出ているのだと思われます。それと水分が少ないので余計なドリップがでない。これは素晴らしいことだと思います。いくら安く仕入れてもドリップがたくさん出ている肉では歩留りが悪く、かえって高い仕入れをしているのと同じなのです。

今回の近江プレミアム牛は自家割りなので格付けはつきませんが、おそらくA2くらいです。でも価格はA5以上です。そんなに高い肉を(ホントは高くないんです)なぜ仕入れるのか・・・それは、

その背景にまで惚れ込んで、手間ひまかかっている分だけ“おいしさのリターン”を得られることを私も含め感度の高い料理人たちは知っているのからなのです。

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【11月出荷分の近江プレミアム牛の在庫状況】

ヒレ 2.2kg(右)売約済 2.3kg(左)売約済
リブロース 4.8kg(右)売約済  5.1(左)売約済
サーロイン 4.0kg(右)売約済 4.6kg(左)売約済
カタロース 10.0kg(右)販売可能  9.3kg(左)販売可能
ソトヒラ 5.4kg(右)売約済 5.4kg(左)売約済
ウチヒラ 5.6kg(右)売約済 5.5kg(左)売約済
ラム 4.4kg(右)売約済 4.5kg(左)売約済
マル 4.8kg(右)売約済 4.3kg(左)売約済
ウデ 6.4kg(右)売約済 5.6kg(左)売約済
トンビ 1.3kg(右)売約済 1.3kg(左)売約済
ブリスケ 5.1kg(右)売約済 5.8kg(左)売約済
三角 2.3kg(右)売約済 2.5kg(左)販売可能
ナカバラ 5.6kg(右)売約済 5.2kg(左)売約済
ソトバラ 6.8kg(右)売約済 6.1kg(左)売約済
チマキ 3.0kg(右)売約済 2.3kg(左)売約済
小肉 0.5kg(右)売約済 0.6kg(左)売約済

 

 

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