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同じ肉でも食べる日によってこうも違うものなのかを実感

公開日: : 2014/12/25 雑記

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全農から枝肉を仕入れることはほとんどないのだが、たまに私が懇意にしている生産者が出荷したとき、ここぞとばかりに声をかけてくる(笑)

今年は私が経験した中でも過去最高に枝肉が高い。農家バブルのような高値が続いている。どこかで落ち着くだろうと思っていたのだが、落ち着くどころか高くなるばかりでどこの肉屋も厳しい状況を強いられていることだろう。

年末年始は、当店で20頭程度の枝肉を捌くのだが木下牧場も後藤牧場も早めに出荷を終えてしまったため段取りが狂ってしまった。セリでも思うように買い付けができていない。そんなところに全農から電話がかかってきた。私が懇意にしている農家の枝肉があるけどいらないかというのだ。素牛は熊本で格付けがB-3、枝重が480kgと私の好みだった。肉の良し悪しも大事だが、だれが育てたのかを重要視している私にとっては断る理由なんてない。もちろん商売ですから瑕疵がひどい場合は遠慮するのだが、おかげでベストなタイミングで1頭確保することができた。

赤身が強くていかにもおいしそうな肉質なのだが水分が多いのが気になる。本来なら40日程度熟成させるとおいしくなるのだが勢い余って骨を抜いてしまった。こうなると40日の熟成には耐えられない。あくまでも長期熟成に耐えられるのは骨付きの状態が条件なのだ。

ともあれこの牛のロースをLe14eのシゲさんに事情を説明してフレッシュの状態で届けることにした。届ける前にサーロイン側を1枚分厚くカットして念のために味見することにした。

・・・ まったくおいしくない。

やわらかいだけで肉の味がしない。水分が多い分、口の中でもさもさする。これはダメだ。揚げ焼きしようものなら油の中でパチパチ跳ねて危険極まりない。再度シゲさんに電話しておいしくないから納品できない旨を伝えたのだった。

仕方なく開閉の一番少ない冷蔵庫に吊るしておくことにした。小型扇風機で空気を循環させて水分を飛ばす(抜く)作戦だ。それでも10日が限度だろうな。それ以上は骨を抜いて肉に傷がついているので腐敗がはじまる。

さて、あれから6日がたった。前回と同じように分厚く切って揚げ焼きしてみた。まだまだ水分が抜けきっていないがしっかりと肉の味を感じることができた。あと4日でどこまで水分が抜け切れるかだが、この手の肉は揚げ焼きよりもオーブン焼きのほうが向いていそうだ。

しかし肉はおもしろい。6日前はおいしくなかったのにこうも変化するとは。同じ肉でも送った日(食べた日)によってお客さんの感想が違うことってよくある話なのだが、こういうことなんだろうな。

一般のお客様が3日も4日も置いておくとは考えにくいので届いたその日をベストのおいしさにもっていくことがいいと改めて思った。逆にレストランへ届ける場合は50%程度の仕上がりで納品するのがいいと思う。このあたりを読み間違えるとおいしさの間隔が微妙にズレてしまうので、常に肉と向き合って食べるということを繰り返すしかない。

 

 

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