肉Meets in ル・ルビーは熟成肉とヴァンナチュールで大盛況でした
今回の集合写真も私の顔は真っ赤です(笑)
北九州小倉のル・ルビーさんで開催した肉Meetsは私の友人知人とル・ルビーさんのお客様が半々という理想的な形でスタートしました。ル・ルビーさんのお客様は飲食関係者の方が大半で肉に関する質問もたくさんいただきました。
この日のためにご用意させていただいた肉は、愛農ナチュラルポークのカタロースと北海道&長崎県産のサーロイン(40日熟成)です。本当は地元の牛肉をご用意したかったのですが、そんなにタイミングよく揃えられないので、状態の良い2種類を選びました。愛農ナチュラルポークに関してはいまさら説明するまでもなく、当日も脂の旨さにみなさん驚かれていました。最近は豚にも興味があって、全国、いや、世界中の豚肉を取り寄せては試食しているのですが、愛農ナチュラルポークには敵わないですね。なにも特別な飼育はしていないのですが、なぜこれほどおいしくなるのか不思議です。
愛情だのなんだのと言うのは簡単ですが(もちろん牛や豚の飼育に愛情は大切です)、ビジネスではなく高校生が実習の一貫として飼っている豚だということがストレス軽減にも繋がっておいしくなっているのかなと思ったりもしています。
メインの熟成肉ですが、炭火の香りと熟成香がすばらしくマッチしていて、揚げ焼き同様に、炭火焼きも肉の表面がカリッカリのキャラメル状の面ができれば成功です。つまり外はクリスピーで中はレアな感じです。
私の解説に対して参加者から「なぜ熟成肉は骨付きでないとダメなのか?」という質問があったのですが、肉から骨を外すとすぐ酸化が始まるので、肉は熟成ではなく腐敗に進みます。だから骨を外した肉では熟成はできないのです(このあたりの解釈が難しく熟成という言葉が誤解を招きそうですが私が言ってるのはドライエージングによる熟成肉のことです)ウェットエージングはあくまでも真空パックの肉(ウエットエージング)も熟成肉には違いないのですが、とにかくこのあたりがややこしいのです。
肉は骨を外すと傷むので、私が修行時代は必要な部分だけ骨を外して使っていました。いまはそのような技術者も少なくなってきているのと、とっとと骨を外してしまって真空パックにして長期保存したほうが歩留りもよく使い勝手が良いことから本来なら伝承すべきであるこういった技術は消え去りつつあります。実際、私も技術的にはできるのですが(たぶん・笑)やらないですしね。
便利さをとるか味をとるか、ちょっと飛躍しすぎかも知れませんがおいしさの追求は邪魔くさいことをどれだけやるのかだと思います。ビジネス的なことを考えると牛肉における歩留りの悪さは経営を圧迫するだけだし、それよりも肉は骨を外した瞬間から腐敗へ進んでいくので、暇が続けば変色部分を削り取って捨てなければいけません。真空パックという便利なものができたおかげで長期保存も可能になり、なによりも扱いが便利で楽になったのは言うまでもありません。
ただ、真空パックで保存した肉よりも枝肉で吊るした肉のほうがおいしいのは間違いありません。肉が持っている酵素が分解されてアミノ酸に変化していく過程が熟成でありおいしくなっていく過程なのですが、真空パックの肉は長期保存すれば袋内に肉汁が溜まります。袋を破ったときに肉汁と一緒に旨味が外に流出してしまうのです。
しかしながら、脂の旨味が損なった肉でも焼き方でおいしくなる方法はいくつかあります。例えば、ル・ルビーの清末シェフのように炭火を用いる場合は、先にフライパンで脂目から火を入れてやります。それから炭の輻射熱(ふくしゃねつ)だけで肉の細胞をゆっくり開いてやり5~6割火を入れてやります。火加減は緩やかから強くのイメージです。揚げ焼きの場合は、油も肉も冷たい状態でマックスの強火にかけていきますのでカリッふわっとした食感ですごくおいしい仕上がりになります。
それと驚いたことが1つありまして、私の座ったテーブルで「Tボーン」の話が出ていて、Tボーンをだれも知らないと言うのです。もちろん聞いたことがあるという方はいますよ。でもそれが何なのかは分からないと。
Lボーンを知らないと言うのならわかりますが、Tボーンは知ってるでしょうと私的には思うのですが、現実は知らない人のほうが多いんですね。
ちなみにロースとヒレがくっついている骨がTの形をしているのでTボーンと呼びます。同時に2つを味わえるので人気なのですが、ヒレをとれば骨はLの形になるのでLボーンと呼びます。
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