ブームの赤身肉とは一線を画した自然派の赤身肉ジビーフ
公開日:
:
2014/10/03
ジビーフ(完全放牧野生牛) 完全放牧野生牛ジビーフ
先月(9月24日から3日間)に十勝の生産者を訪ねたのですが、最終日はジビーフに会うために様似町新富地区の西川さんちへ。人口は2人しかいないので当然ながら道中ですれ違う車もなければ人もいません。たまに見かけるのはキツネぐらいなものです。
西川さんちは「駒谷牧場」という牧場名があるのですが、牧草地があまりにも広すぎて牧場という感じではなく草原?… ジャングル?… とにかく牧場ではないですね。放し飼いですし(笑)
西川さんちに到着しても牛舎があるわけでもなく、200haの広大な牧草地を歩き回って牛たちを探さなければいけません。牛は群れで行動するので1頭見つければその周りに数頭はいるはずです。
しばらく歩くと(30分ぐらいだったかな)笹に埋もれるように2頭の牛を見つけました。案の定その周辺に数十頭の牛たちが休息していました。
私たちが牛たちを眺めながら談笑をし始めてどれぐらいの時間がたっただろう… 牛たちは移動を始めました。牛たちの先導で後をついていくのですが、牛のウンチを避けながらの崖くだりは体力勝負です。
牛たちは毎日このような行動をくり返しているのですから足腰が丈夫なはずです。ジビーフの肉は身が引き締まった歯ごたえのある少し硬めの印象が強いのですが、こういった生態系を目の当たりにすると納得してしまいます。ただ、課題もあって肉が緩い(締りがない)のでスライスしにくいのです。特にしゃぶしゃぶのように薄さを求められるとかなり難しいのです。
このような場合は脂が硬くなる飼料を配合して調整するのが一般的なのですが、ジビーフは自生の草しか食べないので、牧草地に種類の違う種を撒いて調整するしかないのです。結果はしばらく先になりますが、おそらく良好な肉質のジビーフに仕上がるのではないかと期待しています。
群れを眺めながら帰路につく途中、今度は先ほどとは違う群れに遭遇。
さらに・・・
バラ線をかいくぐって脱走している種牛も発見。最近導入したばかりの若い種牛で熟女牛に恐れをなして脱走してしまったようです(西川さん談・笑)もちろんこれは冗談ですが他所から来たばかりなのでまだ馴染めていないのでしょうね。
いま近江牛はもちろんのこと、全国的に牛が高騰し続けています。牛不足や和牛の海外輸出など、いろんなことが重なり合って仔牛も成牛も高値で売買されているのですが、恐らく5年後には和牛は国内より海外市場が中心になるように思います。その頃の日本は赤身肉が今以上に浸透し、逆に海外で霜降り肉の需要が多くなるでしょう。それは大手企業の海外へのアプローチを見ていても安易に想像できることであり、新しい時代に突入した感じを肌で感じるこの頃です。
ただ、私が取り組んでいるジビーフや愛農ナチュラルポークなどは趣味かビジネスかよくわからない分野ではありますが、こういった流れとは逆行する形であくまでも生産者と消費者の顔をしっかり見ながら、なによりも私自身が一番楽しみながらやっていければと思っています。正直、ビジネスとしては成立しにくい肉ばかりですが、おいしい輪が広がれば、そしてトータルで損をしなければ会社としても潰れることはないでしょう(笑)… まだまだ好き勝手やらせていただくには潰すわけにはいかないですしね。
10月10日でご注文いただいていたジビーフの出荷がすべて終わります。その後、余った部位を整理して再販を予定しているのですが、一般販売の他に外食で確実に召し上がっていただける店は、南草津のサルティンボッカ、駒沢のイルジョツトで食べることができます。次回の販売予定は12月になりますので時間のある方はぜひお出かけください。
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