ジビーフ128か月齢の背景にあるものは
公開日:
:
2021/03/27
ジビーフ(完全放牧野生牛)
先日、屠畜したジビーフ2頭。まずは、『いよりん(←牛の名前)』128ヶ月令。それにしても脂の黄色さ。
経産牛の脂の黄色さは見慣れていますが、これほどまでに黄色い脂を見るのは久しぶりです。
去勢や未経産の和牛の場合、腎臓を守るケンネ脂(すき焼きについてる脂ね)は、たっぷりしっかりついていますが、いよりんのケンネ脂は、長年の出産、子育てを物語っています。
いよりんは、右後肢股関節が開き、これ以上の妊娠出産は負担が大き過ぎると判断しての出荷屠畜になりました。
先月、様似へ伺ったときも、いよりんは足を引きずりながら辛そうでした。ガリガリに痩せ細って皮下脂肪も0.1㎝。身を削って、これまで8〜9頭の赤ちゃんを生んでくれました。
一般流通では間違いなく値がつかないと思います。でも、そんな一般的なことはどうでもよくて、僕なりに価値をつけて必要な人に届けられるように全身全霊で手当てしていきます。
ジビーフの世界観は特殊ですから、ご同業、畜産関係者には理解できない話かも知れません。僕は近江牛も扱っていますが、和牛の肥育とは真逆であり、根本が違うため比較するものでもありません。どちらが良いとか、そういうことではなく、人間でいうなら生き方みたいなものです。ただ、みんなが右を向けば、僕は左を向きたがる性格なので、そこで旗を立てることができれば、競争もストレスもない世界が創れるのではないかと思っています。
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