未来につながるジビーフ視察ツアー
公開日:
:
2014/06/15
ジビーフ(完全放牧野生牛)
北海道様似新富地区にある駒谷牧場の広さは200ヘクタール。といっても200ヘクタールがどれくらいなのか想像もつかないですよね。東京ディズニーランド5個分といったら分かりやすいでしょうか。そんなだだっ広い放牧地(と呼んでいいのか)に牛の数は20数頭だから、耳標をつけるだけでも大変なんです。生産者の西川さんはこんな感じ(↑写真)で木陰から耳標を付けるタイミングを狙っているとか(笑)
200ヘクタールの放牧地はジビーフのために・・・なのですが、毎度、我がもの顔でやって来るのはエゾシカたち。頭数も、写真では数頭ですが、いつもはこんなものじゃないそうです。牧草の食害だけではなく、牛が出ないように張ってあるバラ線(有刺鉄線)を足に引っ掛けて切ったり、緩ませたり……本当に厄介者ですが、ここは元々『大自然界』、野性動物にしてみたら『お前たち人間の方があとから来て、勝手にバラ線張って、大きな顔してるやないか』と思っているかも知れません。西川さんは、これから生まれ来る全ての『命』のために、この森をどう守るべきなのかと自問自答する日も少なくないとか。
牛が逃げ出さないように境界線にバラ線を張るのですが、何かくっついているの分かりますか?これは「鹿の毛」なんです。どうやらここは、鹿の通り道のようです。ほんと大自然ですね。こんな環境で育つジビーフの肉は、かなり手強くて自生の草が飼料なので水分が多くて肉に締りがないのです。だから包丁が錆びついているとまったく切れないのです。あらかじめ包丁を研いでから肉に挑まないと嫌になるくらいです。
さて、今週18日に迫ったジビーフ視察ツアーですが、前日の17日には十勝ヒルズにて「肉Meets ×モルドヴァン・ヴィクトル in ファームレストラン・ヴィーズ」を開催します。もちろんメイン食材はジビーフですが、参加者が豪華です。ジビーフの西川さんをはじめ地元の生産者の方々、メディアの方々、そして東西のシェフたち、楽しくなりそうです。
ここ最近、雑誌はもとより新聞でもアメリカンビーフの広告がやたら目立ち始めてきました。輸入規制変更で米国産の供給量が拡大されたのが要因でしょう。骨付き肉を提供する店も増えてきました。数年後は、安価な牛肉はアメリカンビーフ一色になりそうな気配すら感じます。
和牛の生産者も危機感を募らせてはいますが、若い後継者に至ってはブランド牛に依存しているような気がします。あくまでも私が世間話から感じたことではありますが。近江牛だから大丈夫… という安易な安心感を強く感じます。実際は、BSEのような問題が起こればブランド牛もノンブランド牛も同じです。おそらくここ数年のバブル(相場の高騰)が経験の浅い後継者世代を麻痺させているのでしょう。
私が思うには、これからこそがネットワークの時代だと思うのです。そういう意味でも明後日からのジビーフ視察ツアーは未来につながると思うのです。
「だれから買うのか」「だれが言ってるのか」この2つがこれからのキーワードだと私はあらゆるところで言ってますが、私自身も日常生活の中で体験することが多くあります。例えば、京都のどこそこの焼肉屋さんはかなりおいしかったという情報を山本さん(仮名)から聞きました。行ってみると、それほどでもなかった。後日、山本さんから、今度は大阪のどこそこにおいしいステーキの店があると聞きました。行ってみるとそれほどでもなかった。数日後、山本さんから、またおいしい情報をもらうのですが、もう行かないですよね。山本さんがどうこうじゃなく、山本さんの視点と味覚が私とは違うので参考にならないわけです。これなんかは「だれが言ってるのか」に当てはまるのですが、一方、「だれから買うのか」は、一消費者として私にとっても重要な問題なのです。
そう考えると、ここ最近は、スーパーや百貨店で食品を買うことが安心にはつながらないと思うようになってきました。だって、百貨店ブランドなだけで、バイヤーも仕入れ担当も販売者も、だれも知らないんですから。そんな知らない人からモノを買う、しかも口に入れるものを買うということはおいしくないなぁ・・と。
私を信頼して肉を買ってくれている方々に対してものすごい責任を感じるんですよね。だから私は生産者にも厳しいことを言いますし、 完璧を求めます。牛に食べさせる飼料に関しても口出ししますし、分析も求めます。だからなに?と言われれば自己満足の範疇なのかもしれませんが、まずは自分たちが安心したいのです。そうでなければ自信を持って売れませんからね。
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