土佐あかうし熟成肉の揚げ焼きのおいしさには驚いた
公開日:
:
2013/08/30
イベント
「肉Meets in 高知スルラクセ」は満席にならないと思っていた。というのも会費が15000円に設定したため、高知でその参加費は高すぎると言われていた。実際にスルラクセの山本シェフももう少し下げたほうがいいかなぁ、とおっしゃっていたのだ。これはけっして弱気ではなく、その土地土地の事情もあり本来なら参考にすべきところなのだが、結果として、価値あるものにふさわしい対価でやることにしたのだ。結果は用意した24席がすべて埋まりました。
肉Meetsは私の趣味的なイベントでもあるので、近江牛にこだわることなく、気になる肉があれば積極的に使っているのだ。今回の土佐あかうしは、そのままでもおいしく食せるのだが、あえてドライエージングすることで、新しい味との出会いを参加者に体験してもらおうと通常より30日多く熟成期間を設けた。
高知県庁畜産課の公文さんが、とにかく勉強熱心で高知で肉Meetsを開催するならぜひにと紹介されたのが、スルラクセの山本シェフだったのだ。熟成肉を扱うのが初めてということもあり、7月10日に試食会を開催させていただいた。要は試し焼きだ。このときは熟成期間も甘かったので、熟成肉の良さは感じることができなかった。さて本番はいかなることに。
須崎産のメジカの新子の刺身からはじまり、土佐あかうしの前菜盛り合わせ、ハチノス、センマイ、小腸のラグーソースのスパゲッティーニ・・・などなど、ざわざわしながらおいしく食べ進み、そしていよいよ熟成サーロインの低温ローストが運ばれてきた。
私の前に座ってる方が一口食べるなり、「うわーっ!これはうまい、鳥肌が立つ!」とすごく感動していた。腕をみると本当に鳥肌がたっているではないか。牛を食べて鳥肌とは(笑)
あちらこちらの席からうまい、うまいの声が・・・じゃー私もとサイコロ状にカットして口に入れると、熟成香がかなり強烈に口の中に広がった。けっして嫌な香ではなくどちらかといえば香までおいしいといった感覚だ。肉は長期熟成のため水分が飛んでいたが山本シェフが丁寧に火入れしてくれたおかげで、ちょうど良い柔らかさに仕上がっていた。
いやぁー、大満足だ。とにかく参加者の笑顔が印象的だった。しかしこれで終わりではなかったのだ。
なんと山本シェフは、揚げ焼きにもチャレンジしてくれたのだ。揚げ焼きというのは、たっぷりの油をフライパンに入れ、焼くというより揚げるようにして表面をキャラメリゼする感じなのだ。外はカリカリ、なかはウルッとするような旨味ある肉に仕上がるのです。これが結構むつかしいんです。
ここでまた歓喜の声があちこちから・・・
しかし、すばらしい料理の数々でした。はじめて土佐あかうしを熟成したのですが、自分で言うのもなんですがほぼ完ぺきじゃないかな、すごくよい仕上がりで山本シェフがさらにおいしさを引き出してくれたので、もう、言うことなしの大満足でした。
今回は食べる前に20分程度、公文さんに土佐あかうしのことをお話しいただいたのですが、背景を知ってから食べるのと、なんの情報もなく食べるのとでは、まったく違うのです。それは味や対価にも少なからず影響するのではないかと思うのです。
たとえば、少々高くても輸入牛肉より国産牛肉を買いますか、とアンケート調査をすればおそらく「ハイ」と答える人が大半だと思うのです。しかし実際には、そうは言うものの安価なものに手が伸びてしまうのが現状なんじゃないかな。
それを否定するつもりはありませんが、作り手、要は生産者の伝え方次第で安いものに飛びつく消費者が少しは変わるんじゃないかなと思うのです。生産者に情報発信力がなければ、それこそ私のようなものが発信すればいいことであって、とにかく伝えなければいけないと思うのです。
価値を伝えることによって、正当な対価を払うことが当然だという認識が生まれ、そこから安いだけではダメだということを共有できるようになれば価格ではなく価値でモノが動くのではないでしょうか。
今回の肉Meets in 高知ではそんなことを考えさせられるいい機会にもなりました。
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