料理は数字じゃなく作り手の心意気だと思うのですが。
公開日:
:
2013/06/01
イベント

サルティンボッカの木村シェフに、「最近肉の回転が速すぎじゃないですか?」とお聞きしたところ、「お客さんの顔をみていると、ついつい分厚くカットしてしまうんですよね。けっして忙しいわけじゃないんですよ。」と謙遜した返答だった。
以前こんなこともおっしゃっていた。「近江牛は儲けなんて考えていないんです。うちに来ればおいしいお肉が食べられる、それでいいんです」
サルティンボッカは連日たくさんのお客様で賑わっている。私も週1程度で食事に伺うのだが、近江牛のビステッカやタリアータをオーダーするお客さんが多い。
お客さんは肉だけを食べるわけではなく、前菜からパスタまで、さらにワインとのマリアージュを楽しんでいる方がほとんどだ。商売だから利益は出さないとお店を維持できないが、料理からシェフの心意気のようなものが伝わってくる。それもおいしさに加味されているのではないだろうか。
サルティンボッカに限らず、オーナーシェフのいる店は、料理に心意気を感じることが多い。いい意味で適当なのだ。肉なんかこれじゃ採算合わないだろうというくらい分厚いものがでてきたりする。つまりお客様に喜んでいただきたいという「おもてなしの心」が一皿ごとに表現されているのだ。
一方、オーナーがいない店は料理にギスギスしたものを感じることが多い。一皿ごとにコストや原価など数字的なことを感じてしまう。ただ、チェーン店ならいざ知らず、個人店では致命的だ。オーナーが見ているのはお客さんではなく数字なのだ。
もちろん求められる「おいしさ」は店によって違うと思う。たいしてうまくもない店がなぜか流行っているということも少なくない。これはお客さんにとっての「品質」と「用途」が合っているからだろう。
数字で縛られたシェフが作る料理はなにか物足りないが、先日の記事で紹介したクレメンティアの田淵シェフのように生産者の想いをつないでいるシェフの料理は温かみを感じる。少しの差なのかも知れないが意外と気づいていないオーナーやシェフが多い。
さて、今日は池袋のワインバー、エスペルトで『新井 治彦さんとのコラボ「最高の熟成肉 & 最高のスペインワイン in Espelt 」』に参加のため、いまから新幹線に乗り込みます。
50日熟成のサーロインとサシがビッシリ入ったサーロインの食べ比べ&スペインワインとのマリアージュです。この日のためにドライエージングしたすばらしい肉なので参加者のみなさん喜ぶだろうな。しかし、サシが入ったサーロインはくどいだろうな(笑)
こんな感じで、私が主催する肉Meetsの他にもいろんな食材やワインとコラボしたいと思いますのでお気軽にお声がけくださーい。
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