モンティーユのような流通経路がわかりやすくて安心だ
公開日:
:
2012/01/08
雑記
ステーキといえばワインということで
当店では、セット商品としてタイユヴァンのワインのみ販売している。
(→クリック)
2008年にタイユヴァン・グループを統括するシェフ、ピエール・ベロ氏を招いて開催された
寿司とワインのマリアージュを楽しむ会でご縁をいただいてからのお付き合いだ。
サイトでは赤ワインのみの販売だが、個人的に肉に白を合わせるのが好きなこともあり
当初は、“モンタニー・プルミエ・クリュ”などの白ワインを販売していたこともある。
さすがに、「牛肉=赤」のイメージが強すぎて白はまったく売れなかったので
いまは販売していない。
発注の際に、私が個人的に買うことはある程度だ。
ところで、白ワインのトップ生産者といえば、
コント・ラフォンとコシュ・デリの名が常に上位にあがる。
雑誌だったのか、どこかのワインサイトだったのか忘れてしまったが
コント・ラフォンとコシュ・デリ、そしてモンティーユの3本による試飲会で
モンティーユのムルソーのワインが1番に選ばれた、というのを読んだことがある。
モンティーユのワイン造りは自社畑を持たないネゴシアンで
牛肉の業界でいうところの問屋や仲卸業者のようなものだ。
市場のセリで買い付けた枝肉をそのまま、または部分肉にして
精肉店や焼肉店に卸す問屋に似ている。
ネゴシアンとは、農家などからぶどうやワインを仕入れて
ブレンドや熟成、瓶詰めを行って出荷する卸売業者のことだ。
一方、同じ生産者でもドメーヌは、自分で栽培して収穫したぶどうから
ワインを造っている人たちのことを指す。
モンティーユがすばらしい白ワインを造るのは、
従来のネゴシアンのようにできあがったワインを買い付けるのではなく
自らが管理や収穫まで指示をだして、まるごと買い付けているからだ。
畑を持たないモンティーユだが、栽培農家との信頼関係があってこそ成り立つやり方で、
その成果がコント・ラフォンとコシュ・デリをも上回る白ワインを造る秘訣なのかも知れない。
牛肉の世界では、問屋や卸業者から部分肉を仕入れるのが一般的だ。
セリで仕入れる場合も、農家から直買い(市場を通さないやり方)の場合も
枝肉の状態でしか見ることができないため、そこにいくまでの過程はまったくわからないわけだ。
すなわち、なにを食べさせて、どのような環境で育ったかなど知る由もないのです。
まぁ、あまりこのあたりに興味を持つ食肉関係者はいないだろうが。
しかし、これからは生産者も販売者も消費者も一緒に協業する
エンゲージメントの向上が課題の1つとしてあげられる。
格付け制度がある限り、味ではなく見た目優先で牛肉の評価は先行するが
いつかモンティーユが造りだす最高の白ワインのように見た目ではなく、
味で評価される制度も作りだされることを期待したい。
フランスでは、赤身肉は高級肉の位置付けだが
日本では見た目の評価が最優先で味はあまり関係していないのが実際のところだ。
格付け制度のおかけで、91年の牛肉自由化の際には
日本の和牛を価格競合から守ることができた。
1つの目安としての格付けにプラスして食味が追加できればおもしろいのだが
牛肉は熟成の段階により、日によって味が変化するのでこのあたりはむずかしいかも知れない。
いずれにせよ、消費者が何を求めているのか、何に関心を抱いているのか。
そこがポイントであることは間違いない。
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