特殊能力
公開日:
:
2023/06/30
イベント
「20年前の三級品が今の一級品というくらい違う。昔は、築地にはいいまぐろがいくらでもあって、好きなのを買えばよかった。でも今はとんでもない。そんなことをしていると手に入らなくなる」と二郎さん。禎一さんも口をそろえる。
二郎さんとは、「すきやばし次郎」の店主のこと。
「今は”あてがいぶち”ですね。あるなかから選ぶしかない。だから、ある程度寝かせて熟成させて、旨味を引き出す技術がものをいう」。
長年築地の変遷を見てきた藤田氏だからこそ理解しているまぐろの真の価値。目利きとは、このような深い知識と長年の経験から生み出される特殊能力なのである。
特殊能力かぁ、、
なるほど。言い得て妙だな。
藤田氏というのは、豊洲でまぐろの仲買人をやってる「フジタ水産」の藤田浩毅(以下浩毅)のこと。
浩毅の記事がないか調べていたらGQ Japanにカッコいい内容で掲載されていた。
浩毅の父親も築地市場の仲買人で、アジ、サバ、イカなどの小さな魚の仲買人だった。学校を卒業後、浩毅も父親と一緒に仲買人を始め、アジやサバだけではなくて、黒いダイヤといわれるマグロにも当然のごとく興味を持っていく。
浩毅にも転機があった。ある日マグロのセリ場で他の仲買人たちがやってるように、マグロの切り離された尾をさわっていると、それを見ていたマグロの仲買人に、「駄物屋はさわるんじゃねえ!」と大声で怒鳴られた。
駄物屋とは、種類雑多な小さな魚を扱う仲買人に対する蔑称だ。
悔しくて涙が出たという浩毅はまぐろの仲買人になってやると固く決意する。そこから浩毅は、魚の切りつけのアルバイトを1日20時間こなし、初めのまぐろ1本を買うための資金を自分で貯めたという。
魚も肉も職種は違えど似たようなもの。近江牛のセリ場で、問屋から「おいサカエヤ、今日もババ牛買いにきたんか!」と周りに聞こえるように大声で言われたことは今だに忘れたことはない。※ババ牛というのは経産牛のこと。
その後も、新保は経産牛を安く買い叩いて高く売ってるとか、散々言われ続けてきた。たぶん、いまも陰で言われてると思う。どうでもいいけど、、
さて、ここまでは、浩毅や僕の昔話をしたくて書いたのではなく、いい記事だったのでうちのスタッフやブログ読んでくれてる若い子たちに向けてのシェアです。うちのスタッフには、言葉でも補足しますが、いまの時代は生きづらいところもあるので、そこもひっくるめて各々技術を習得しながら頑張ってほしいと思います。
さて、浩毅が還暦なので、お祝いの食事会をラフィナージュで。まぐろはいつでも食べられるだろうから、この日は浩毅が大好きな愛農ポークとババ牛です(笑)
そして、いつも思うことだが、高良シェフの料理は愛で満ち溢れている。
牛も豚も餌だ環境だと言うけど、もちろんそれもおいしさの追求には欠かせないことだが、結局は、生産者の愛なのかも知れない。
この日は、浩毅のために僕が肉を用意し、浩毅のために高良シェフが料理し、浩毅のために忙しい仲間が集まった。愛しかない。
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