その店にあった肉を用意するということ
公開日:
:
2020/08/13
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虎ノ門でポップアップ中、何人かの方に取引のお話をいただきました。シェフであったりマネージャーみたいな人であったり、投資家みたいな人であったり。シェフは別として、共通しているのが僕の質問に答えられないということ。なにで焼いてますか。炭なら種類は。店の広さは。席数は。換気はどうなってますか。客層は。客単価は。アルコールはどんなのおいてますか。などなど・・・
僕にとって取引するってそんな簡単なことじゃないと思ってます。友達になれるかなれないかと同じです。サンプルとか見積もり提示は論外として、1~2回肉を送ったぐらいでは何もわからないです。何度も何度も意見交換しながらその店に合った肉を手当てして仕上げていきます。その店にあった肉を作るのが僕の仕事ですから。
昨日のメッシタ・パーネ・エヴィーノ。店主の順ちゃんが「うちに送ってもらってる肉は香りが弱いように思うのですが」と。熟成肉は香ってなんぼだと思っている方が多いようですが、大きな間違いです。メッシタ・パーネ・エヴィーノのような小さな店に香りが強い肉を送ったら大変なことになります。みんながみんな熟成香を好むとは限らないですし苦手な方もいますからね。だから少しだけ火を入れたときに香りが立つ程度に仕上げています。
おいしい肉は山ほど流通しています。でも、言い方が良くないですが、おいしくない肉をおいしくする技術はだれもができるもんじゃないと思っています。その地味で根気のいる仕事を理解してくれる人にだけ届けたいと思っています。
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