*

父親間もなく引退

公開日: : 2019/05/09 コラム

90歳近い父親。この8月で引退する。引退したくてするのではなく駅前開発で店がなくなるので渋々引退。16歳から肉一筋でやってきたので引退はしたくないだろう。まだまだやれると僕にアピールしてくるが無理だろう。僕と一緒に仕事したのは3年程度。もし今も一緒に仕事していたらもっと早く引退させていただろう。

風のように骨を抜く、風のように筋を引く。ものすごいスピードで正確に肉を切る。若かりし頃の父親は凄かった。絶対勝てないと思った。でも老いてしまった。僕もいずれそうなる。枝肉を扱う以上、肉屋の仕事は力仕事。数か月前も腸が破れて緊急入院した。退院した翌日には仕事している父親の姿があった。

肉屋しかできない。なんの趣味もない。さてどうしたものか。引退後はうちの店でコロッケでも作ってもらおうかと考えている。死ぬまで肉の香りの中にいたいだろう。

先のプロフェッショナル仕事の流儀。じつは父親にインタビューさせてほしいと何度も言われた。うちの父親は無口どころじゃない。なにもしゃべらない。その代わり茶髪でパンチパーマの母親が父親の100倍しゃべる。結局実現しなかったが、もしでていたらどんな感じになっていたのか・・・

テレビを見て電話が鳴りやまない。注文やら営業の電話やら、さすがに取引の電話は少ない。僕のイメージが悪かったからだろう(笑)

でも、番組を見て若者が一人でも肉屋に憧れ飲食店に興味を持ってくれればうれしい。それとある方にこう言われた。親孝行だぞ、、、と。遊ばせるとボケてしまうので9月からうちでコロッケでも作ってもらおうかなと思ったり。中学卒業して熊本から集団就職で京都に。それからずっと肉屋。最初の仕事がコロッケ作りだったそうだ。人生最後の仕事もコロッケで終わらせたい。まだまだ死にそうにないけど

記事が気に入ったらシェアをしてね

  • twitter
  • facebook
  • google+
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

生涯現役、肉屋しか知らない父親の勇断

うちの父は80歳だが先月まで母と2人で駅前商店街の一角で肉屋をやっていた。数年前からマンショ

記事を読む

BSEの教訓を活かして

久しぶりにAmazon prime videoで震える牛を観た。BSE、食品偽装、当時の記憶が鮮明に

記事を読む

肉を触り肉を捌いて

和牛は雌がよい。血統は但馬系がよい。枝肉の右側より左側がよい。丁稚のころから聞かされてきたこ

記事を読む

久しぶりに八田さんの枝肉を購入し、懐かしい写真もでてきたり、肉屋の仕事について少しだけ振りかえってみました

写真の断捨離をしていたら2010年2月に八田さんの牛舎を訪ねたときの写真を発見。先日のセリで

記事を読む

熟成肉ブームも落ち着いたかと思いきや地方が熱い

和牛経産のサーロインにビーツとサツマイモ、グロゼイユを合わせたものですが、これが本当に経産牛

記事を読む

和牛・牛肉通販 近江牛.com

https://www.omi-gyu.com
仕事の奥深さ

本日から11月、しかし一年あっという間でなんか怖いですね。同級生ですで

所作

写真は、昨夜、BRUSTAで食べた近江牛ウチヒラ。西山さんはワ

今月のジビーフも2頭入荷しています

↑ はるか 今月も2頭のジビーフが入荷してきました。「はる

→もっと見る

  • 2024年3月
     12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31