熟成肉ブームも落ち着いたかと思いきや地方が熱い
公開日:
:
2016/10/07
コラム

和牛経産のサーロインにビーツとサツマイモ、グロゼイユを合わせたものですが、これが本当に経産牛なのかとしばらく呆然としたのでした。肉は熟成させずにフレッシュのままですが、だいたい肉質を見て触れば味の想像はつきます。それらを遥かに上回ったとき唖然としてしまうのですね。再肥育しているので柔らかさは予想通りでしたが「香り」が秀逸でした。
肉のおいしさは「柔らかさ」だと勘違いしている人がいますがじつは「香り」なんですね。柔らかさは記憶から消えていきますが、香りは余韻となって残ります。赤身が詰まった経産牛ですが、シェフの引き出し方がお見事すぎて唸るしかありませんでした。そしてやっぱり和牛ですね。本当においしくて参りました。
さてさて、先日、ある方から「熟成肉もようやく落ち着きましたね」と言われたのですが、ほんと落ち着きました。あれほどあった問い合わせもかなり少なくなり、残るべきところが残って、ブームに乗っかったところは消えていった感じでしょうか。なんか数十年前のもつ鍋ブームを思い出します。
ところがです。落ち着いたのは東京や大阪など都会の話しで、地方に行けば熟成肉がプチブレイク中なのです。ただ、内容がお粗末すぎてショッピングモールで見かける「熟成アメリカンステーキ」レベルのものが多いのが実情です。こうなれば熟成も「特選」とか「極上」とかと同じ類ですね。
もちろん地方だからといっても例外もあります。ただ、ブームの総括として私が思うにはドライエイジングにしろ吊るしにしろ、熟成をしっかりやるには技術や知識も大事ですが、設備がもっとも重要だという結論に達しました。
しっかりした設備を整えるには資金が必要ですし、なによりも場所が必要です。そう考えると小さな厨房で無理をするより設備が整ったところに任せる方が得策だと思うのです。
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