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ecobeef 経産牛セミナー

公開日: : 2018/11/26 イベント

あか牛はおいしくないやんか。名も腕もあるシェフの言葉だった。ここだけ切り取ると関係者はいい気がしないかも知れないがじつは奥が深い。生産者の手を離れた牛は肉となり、次にバトンを受け取った人がおいしくなる成長を止めているだけなんです。しっかり手当てしてやればおいしくなってくれるのにね。でもその手当てが簡単じゃないんです。流れ作業的な仕事ではおいしくなってくれません。向き合うという言葉は好きじゃないけど、思い浮かぶ言葉がないのであえて使うと、毎日のように肉と向き合わなければ期待通りにはなってくれません。肉を育てる、肉に命を吹き込む、なんてカッコいいことを言うつもりはないですが、想いを込めないとおいしいものはできないですね。

ecobeef 経産牛セミナーは、経産牛あつこさん、東海大学の先生や生徒が育てて、僕が手当てして宮本シェフが焼く。たっぷりの背景とともに様々な想いがこもった素敵な会でした。

FBに投稿されていた服部先生の当日の感想をシェフします。

携帯電話の故障・北海道出張、合わせてしっかりと報告しなければと言うプレッシャーからアップが遅くなってしまいました。
10月28日(日)滋賀県サカエヤの新保さんに経産牛あつこさんの手当てと合わせて講演まで引き受けていただきました。ecobeefブランドを教材とした正課外教育活動の一環として学生にecobeefブランドの意味をしっかり学習し、立派なプレゼンまで作り上げ、実際に経産牛を手当・調理して頂き、色んな方に食べていただくと言う牛肉生産の一から十までを実体験させると言う取り組みを実施しました。
新保さんには、牛肉業界における赤身肉の位置付け、業界の実情あれこれ他では聞けないお話をしていただきました。農家・流通・消費者・行政・大学と各方面から60名程ご参加いただき、有意義な時間を過ごすことができました。新保さんから私に最終的に私の目指す形はとの質問を頂き、阿蘇の草資源を再生可能なレベルでうまく使うことと、低コスト生産を目指すことと答えたように思います。この質問については、古里熊本へのこだわりも含めて、改めてしっかり考察したいと思っております。
後半は、炎の調理人宮本健真氏に新保さんが宮本シェフの拘りを読んで手当ていただいたお肉に火入れをしていただきました。二人の拘りは、レベルが高すぎて着いて来れる人がいたのか不安が残ります。私の熟成期間の読みが甘くて、日程上早く屠畜してしまい、新保さんにも肉にも無理をさせてしまいました。単に美味しくするのではなく、その牛の育った履歴を表現する手当を心掛け、草原で暮らして来た牛のパワーや草原の香りを意識されたと思います。宮本さんはそれを受けて、炭焼きに桜や欅などの薪をブレンドして何度も何度も焼いて冷やしてを繰り返し、新保さんや私達の思いに応えるチャレンジをしてくれました。集まっていただいた色んな分野の方々や新保さん宮本さんに触れる機会はキャンパスでは学ぶことのできない貴重な教室となりました。そして学生を指導していただいている樫村先生には、ご苦労をおかけしました。


また、今回の試食会には、大学の技術員仲間からシャインマスカット・ブルーベリー・サツマイモ・サトイモ・酸凝固タイプの白カビチーズ・ベーコンを提供頂き、サングリア・ロースト・サラダとしてご披露させてもらいました。今後、実習センター産の農産物を県内のレストランや加工業者さんに提供して私達の技術のレベルアップにつなげようと言う取り組みが計画されています。ご期待下さい。
最後に、参加してくれた家内が学生としっかり話をしてくれて、この子達は、豚のお産も見たことがなく、大学牧場の牛に触れることもできなかったと言っていた。東海大学農学部のそこに魅力を感じて来たと言っているのに大学はこの子達にどう向き合ってるんだとえらく叱られた。この企画の中心でやっている学生は、入学した春に震災に会い、一年間は一歩も阿蘇キャンパスに立ち入ることが許されず、2年目も一度だけしか牧場に上げてやることができず、個人での立ち入りを許してあげることもできませんでした。現在は、一日2往復のバスが熊本校舎と阿蘇実習フィールドを走っていますが、乗るための許可が必要だったり自由に阿蘇に上がってこれる環境にはありません。阿蘇には、実習センター技術員しか常駐しておらず、学生を自由に入れてやる事は現実的に出来ず、実習授業や卒研そしてこのecobeef project やアグラップと言う正課外教育プログラムを積極的に私達が立ち上げる事で阿蘇に上がってこれる機会を作っていくしかありません。震災前は、毎日同じキャンパスで顔を合わせいた学生が、そう言う限られた機会にしか見かけることがない環境で、私達は、もっと学生達の気持ちに寄添わなければならないようです。

 

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