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銘柄だけを信じるな!

公開日: : 2013/10/27 近江牛

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10月10日(私の誕生日)、毎年この時期のお誘いは避けていたのですが今年は油断していました。東京と大阪の食事会でサプライズ的にお祝いしていただきました。しかも、東京は祥瑞で私がエージングした熟成肉で。大阪はエッサンシエルでこれまた熟成肉。友人のみなさま、ありがとうございました。とっても幸せな気分でした。

例のテレビ以来、毎日のように木下さんのお肉はありますかとお問い合わせいただいておりまして、こちらは一般のお客様からなのですが、今朝は飲食関係の方々から近江プレミアム牛についてのお問い合わせをたくさんいただきました。

当店のお肉を取り扱っていただいているレストランは30席までのお店が多く(8席のカウンターのみというお店もあったりします)オーナーやシェフのみなさん、インターネットでのやりとりから始まるとどうしても顔を合わせる機会が少なくなるのですが、実際に牧場に来ていただいて生産者と話し、環境や牛を見て、そして感じていただいてから取引を始めるようにしています。シェフ1人営業の場合はお店を空けにくいので、そういう場合は私が会いに行くようにしています。もちろんだれかれと会いに行くわけではありません。

木下さんや藤井さんを気にいっていただくシェフが多いのですが、それは牛だけではなく飼育環境や人柄も含めてのこと。

飲食店からお問い合わせいただく場合、取り組みなどの背景も含めて肉を扱いたいというパターンと肉そのものに魅力を感じていただく場合、そして価格の3通りがあります。価格のみの場合は当店でなくてもいいわけでこれは論外として、私がみなさんにいつも言わせていただくことは「銘柄だけを信じるな!」ということです。

近江牛をはじめブランド牛ならおいしいと思っている方、思い込みで食べたらだめですよ。もっと言うなら格付けありきな方。ものさし程度ならいいのですが、A5のヒレが欲しい、できれば雌で・・とか。

今回初出荷した近江プレミアム牛は、近江牛ですが近江牛じゃない、つまり通常の和牛における生産工程とは異なった飼養のため、背景を知り、取り組みに共感していただける料理人に使っていただければと思っています。

当店のお肉を扱っていただいているお店は8席から30席くらいが中心です。シェフの目が行き届く店内には想いが溢れています。自分で産地に出向いて納得した食材だけを使う。そして、木下さんや藤井さんの取り組み、飼育環境に共鳴してやり取りが始まる。しかし、これがけっこう大変なのです。

近江牛という括りであれば、好きな部位(たとえばカタロースとかヒレとか)を問屋さんから単品で仕入れて販売すればいいのです。通常はこのパターンですが、木下さんや藤井さんのお肉を指名買いした場合、安定供給できないのです。もちろん1頭仕入れであれば供給はできるのですが小さなお店で1頭仕入れは無理です。それどころか、10kg、20kgの塊肉さえ保管場所に困るのが現状です。

料理人はそのあたりがストレスなのです。使いたい食材(肉も含め)があっても量的に我慢しなければいけないことがあるのです。妥協した食材を使わざるおえないのです。もちろん技量でなんとでもなるだろうが、本音は惚れ惚れするような食材を思いっきり原価なんか無視して使いたいでしょうね。

今回初出荷の近江プレミアム牛は、お店は小さくても胸を張って誇れる料理人たちに使っていただけることになりました。一頭は使えなくてもみんなで分ければ使える、というすばらしい流れになりました。

枝肉半頭は、京都のきたやま南山さんへ、サーロイン&マルは11/1GRANDO OPENのセトレマリーナびわ湖さん、ウチヒラは京都のクレメンティアさん、ヒレとスネは京都先斗町の佐曽羅 EASTさん、ソトヒラは東京駒沢のイルジョットさん、ランプは滋賀草津のサルティンボッカさん、リブロースは11/1オープンの京都Citron Ble Renewalさん、カタロースは東京三軒茶屋の愛と胃袋さん、トンビは大阪のシュナパンさん、バラとブリスケは近所の焼肉屋さん、ウデは近江牛.comのわくわく定期便の会員様、三角バラが残ってますがどなたかいりますか?

・・・というわけですばらしい流れでしょう。これなら1頭すべて使うことができます。しかもみなさん生産者と面識あるんですよね。

そして、生産者のみならず、その背景にまで惚れ込んで、手間ひまかかっている分だけ“おいしさのリターン”を得られることをみなさん知っているのです。

 

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