高良シェフ(銀座レカン)×高橋シェフ(イルジョット)コラボ肉Meets

私が東京へ頻繁に出かけるきっかけとなったレストラン「イルジョット」。5年前だったか、6年前だったか、熟成肉を販売するにあたり、独学で取り組んできた経緯からだれかに相談する術もなく、本当にこの肉を世に出してもいいものなのかと友人宅に20人くらい食に精通している方々を招いて試食会を行なったのです。その中の1人がイルジョットの高橋シェフでした。
その後、高橋シェフとはすぐに取引をしたわけではなく、確か半年だったか一年後だったか、気がつけばイルジョットの冷蔵庫は私が手掛ける肉でいっぱいになっていたのです。
私が扱っている肉のほとんどがイルジョットへ行けば食べることができます。それにしても圧巻です。

12月のイルジョットの冷蔵庫はこんな感じです。近江牛のロースにモモ、経産牛ロースをドライエイジングしたもの、阿蘇のあか牛サーロインとランイチ、ジビーフのサーロイン、愛農ナチュラルポークのロースとモモ。ここにレバーやタンが加わりますから凄いラインナップです。
ある程度、私のほうで手当てをしてからお送りしているのですが、最終的な仕上げは高橋シェフに委ねます。イルジョットの冷蔵庫が肉を育てる環境としてはかなり優れていることもあり、安心してお任せできるわけです。そして、素晴らしい完成度にいつも驚かされます。

さて、12月の肉Meetsは、一年の締めくくりとして、数年前に熟成肉を試食してくれたメンバーを中心にイルジョットで肉食べ納めを行っています。私にとっての原点ですから楽しみつでもあり、ピリッと引き締まる思いでもあります。
来年度は、私も含め周りの方々一様に大きな勝負にでる年だと聞きます。そんなこともあって、締めにふさわしい肉Meetsにできれば良い形で新年に繋がるんじゃないかと、なんとも贅沢なコラボが実現したのです。
来年の6月に2年間の大改装を終えて銀座レカンがリニューアルオープンします。休業中にも関わらず、この2年間料理をしなかった日はないという忙しさの高良総料理長が、イルジョットの厨房に立ってくれました。高良シェフと高橋シェフの融合は何を生み出すのか?ワクワクがとまらない参加者の興奮度で店内はいつものイルジョットとは違う空気感がゆっくりと、ときには早く流れていきます。

まずは、愛農ナチュラルポークのモモを使ったハム。

愛農ナチュラルポークのリエット。高橋シェフオリジナルのフィグ入りのパンと。

豚の内臓一式が入ったガレットは高良シェフ。

近江牛のハンバーグは藤井牧場さんのウチヒラを使って。

高良シェフのセップ茸とエビを使ったラビオリのようなもの(料理名忘れました)

阿蘇のあか牛(左)とジビーフ(右)の完全放牧コラボ。あか牛は8産した13歳のお母さん牛で、熊本の東海大学阿蘇キャンパス農学部にて通年放牧で育ちました。一方、ジビーフは、京都の「草喰 なかひがし」の大将が命名した、じゅうべい君です。

こうやって見比べると肉質が似てますね。グラスフェッドビーフだからサシもなく、強烈な赤身です。最近のジビーフは牧草の香りをあまり感じなくなってきましたが、あか牛と食べ比べると、やっぱり香りを感じます。おそらく我々がジビーフに慣れてしまったのかも知れませんね。


2年前、北海道の生産者を巡る旅で、十勝のおもて牧場で出会ったジャージー牛と黒毛和牛の交雑。高良シェフに懐いていたこともあり、これもなにかのご縁かとタイミングよく表さんから出荷の連絡があったので、この日に合わせて用意させていただいたのです。黒毛和牛の脂質とジャージー牛の赤身のバランスがとてもよくて、口溶けがよい肉に仕上がっていました。

最後は、高橋シェフと知り合うきっかけとなった熟成肉。沖縄県産の黒毛和牛経産牛サーロインを40日ドライエイジングしたものです。熟成肉ブームになる前から炭火で焼き続けけている熟練の技は高橋シェフの真骨頂です。
気がつけば4時間近く経っていました。それほどまでに楽しく濃く、そしてすばらしい饗宴に酔いしれたのでした。
どの肉も知る人少なくマイナーで、しかも目立つことをしない生産者が育てたものばかりです。そういった肉がそろそろ評価されはじめてもいいんじゃないかと思うのですが、メディアは名のあるものばかりに光を当て、欲深い生産者は自ら営業し、秩序とモラルを見失った人たちをたくさん見てきました。ビジネスの観点からすればそれも正解だと見る向きもあるでしょうが、生産する人、流通する人、と畜する人、肉にする人、料理する人、この流れがどこか一つでも欠ければ本質から外れてしまうと思うのです。私はあくまでも飼育環境に注目しながら目の前の肉をどうすればおいしく仕上げられるのか、料理人や食べ手の好みに合わせて手当てすることが肉屋の仕事だと思っています。
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