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ジビーフがつないでくれたご縁は表面的ではない人間の本質的な部分が大きな意味を成しているのです

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「生命を知り尽くして、料理して、伝えていくことですかね。また、明日も来ます」中東さんはそう言って畑を去って行った。普段は見ることがない「プロフェッショナル仕事の流儀」に中東さんが出演したときのワンシーンだが、後にも先にも番組を見たのはこの回だけ。だいたいがテレビを見ないので、なんとなくつけたらやっていた感じだった。しかし、気がつけば画面に吸い込まれるように見入ってしまった。この人すごいなぁ、ほんまもんや、しかもカッコええやないか!・・・ちょっと衝撃だった。

ある日、1本の電話がかかってきた。中東さんからだった。

テレビでジビーフを見た。日本にもこんな牛がいるんやと驚いた。草だけを食べて育つ牛がいるとは。しかも完全放牧。天命だと思った。私が使わずしてだれが使うのか。私のためにあるような牛ではないか。会話の内容は忘れてしまったのだが、単語を羅列するとこんな感じだった。

ジビーフは木の芽や笹など自然のものを食(は)む。人間が介さない完全な放牧スタイルで真冬でもお腹に氷柱をぶらさげて大地を歩く。真夏は木陰で休みながら喉が渇けば沢に降りて水を飲む。まったくもって自由であり、自然と寄り添いながら生きている。店名に「草喰」とつけている中東さん、興味がわかないはずがない。私こそこの牛を扱うのにふさわしい。私こそが扱わなければいけない。これは天命だ… 草木と会話できる中東さんがそう思わなければいったいだれがと思うというのだ。

そんな矢先、「なかひがし」さんで食事していたお客様からジビーフの話が出た。どんな流れでジビーフの話しになったのか、本人たちに聞いても覚えてないとのことだったが、それにしてもタイミング良すぎる。しかもお客様は僕の友人。その場で友人から電話がかかってきた。「中東さんから電話がいくのでよろしくね」という軽い感じのものだった。翌日だったか中東さんから電話がかかってきた。ご縁とはこんなものだろう。それから間もなくして中東さんが当店にやってきた。さらに、しばらくして、またやってきた。6月には一緒に北海道へも行った。なかなか短期間で密度が濃い。人生の大先輩からは教えていただくことが多く、なにげない会話のなかに学びがありすぎて授業料を払ったほうがいいのではないかと思うくらい勉強させていただいている。

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さて、数名の友人知人から、なかひがしさんで食べたジビーフの話しは聞かされていたのだが、肝心の私はお預け状態が続いていた。「まだ来なくていい」「もうちょっと待って」とじらされていたのでした。そしてようやく入店の許可を得て(笑)行くことができたのです。

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ジビーフのシンタマ(1枚目)とブリスケ(2枚目、3枚目)

料理するほうも食べるほうも、北海道様似の大自然の中でジビーフが草を喰む光景を浮かべながら、ジビーフ「しい奈」をありがたくいただいたのでした。おしいいとかじゃなく(もちろんおいしいですよ)なかひがしさんでジビーフがいただけるという幸せはなんというか、言葉じゃ表現できないぐっとくるものがありました。

中東さんだけではなく、ジビーフを扱っていただいている料理人のみなさんに共通しているのは、「本質」だと思うのです。ちょっと分かりにくいでしょうが、どういったらいいかな、例えば、自然派のワインを謳っている店をよく見かけるのですが、右にならえ的な感じがするんですよね。自然=体に良いみたいな。愛だ感謝だとか言う気はないのですが、食べたときに作り手の想いみたいなものを感じるんです。それが本質だと・・・わかりにくいですね。

ジビーフは、ビジネスとは縁遠いところにいる牛です。どうやったって利益が出る牛ではありません。1ヵ月に1頭出荷するかしないかの格付けC1の牛ですからね。だったら本質がわかっている料理人に預けたいと思うじゃないですか。それができなければ私の責任ですから毎食ジビーフですよ。それくらいの覚悟でやらないとこの牛は扱えないんです。それほどやっかいで難しいのです。でも、おかげさまでジビーフがたくさんのご縁を繋いでくれています。ほんとうにありがたいことです。

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ご主人もおかみさんも素敵すぎます。

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