生産者の視点、問屋の視点、肉屋の視点、そして久しぶりに大学で講演することになりました
公開日:
:
2016/05/28
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久しぶりに某大学で講演させていただくことになりました。本業以外のことは気乗りしないのですが、テーマが「事業継承」ということで、畜産農家も肉屋も、そして飲食店も大きな課題として直面していますので、事例を交えてお話しさせていただきます。
さて、当店には毎日のように、生産者や料理人の方々が全国から来られますが、とにかく狭い店内ですからろくなおもてなしもできません。たまに1人だ思っていたら、5~6人でドドドドっと来られることがあり慌てるのですが、もうね、いい迷惑です(笑)
大きな商いをやっているわけではありませんので、日々バタバタしていますし、もちろんりっぱな事務所もありません。ぜひ、来られるときは、作業着と包丁持参でお越しください。肉を触りながら話すほうが楽しいですしね。さすがに生産者の方が包丁持参で来られても困りますので、あくまでも料理人の方のみです。
しかし、生産者の話しって人によって言ってることがまったく違うんです。それは考え方というか、牛を飼う視点が違うように感じています。もちろんその方にとってはすべてが正解であり、私なんかが意見するようなことはなにひとつありません。だって、100頭飼ってる方と1000頭飼ってる方とでは目指しているものが違って当たり前ですし、結局は私たちがどこに共感するかだと思うのです。
だから、産地を回るときは複数の牧場を訪ねて、いろんな生産者の話しを聞くべきなんです。1つの牧場に行って満足している方がいますが、それでは上辺しか見えません。生きた牛を見たってプロじゃないですから分かるはずがないのです。生産者にあれこれ説明されて、なるほどと思うだけであって、飼料にしたって実際のところは、妙に納得していることがほとんどだったりするのです。
こんなふうに書くと、否定的に捉えているようですが、けっしてそうではなく、生産者の視点、問屋の視点、肉屋の視点はすべて違うもので、例えば、和牛の生産者なら格付けを意識しながら育てるでしょうし、大会に出す牛ならA5-BMS12を目指すと思うのです。ただ、ある牧場で、瞳孔が開いたままの牛を見たことがあって、あきらかにビタミンの調整に失敗したのだと思うのですが、生産者は、うちは愛情たっぷりに育ててますから健康な牛ばかりなんです。って力説するわけですよ。
これとてビジネスだからと割り切る方もいれば、ちょっと方向性が違うかなと感じる方もいると思うのです。だから正解もなければ不正解もないのです。私の場合は、生産者との交流が激しくありますから、肉だけを目利きするのではなく、必ず人ありきで7割を決定しています。人が育てた牛であり、人が作った牛には興味ありません。命を預かる仕事ですから、生産者も料理人も方向性が同じ方としかお付き合いできませんし、そうじゃないと長続きはしないのです。
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