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ジビーフは水分量をコントロールすることでかなりおいしくなってくれるのです

公開日: : 2016/03/12 ジビーフ(完全放牧野生牛)

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今回入荷のジビーフ『ヤックン』はいつもより水分量が少なかった。なので長期の吊るしではなく、10日前後で水分量が落ち着いた。ありがたいことにたくさんのシェフに使っていただき余す部位なく完売しました。

ジビーフのようにオンリーワンな牛は例外として、近江牛も松阪牛も神戸牛もその他の銘柄牛もそのブランドを背負っている生産者が1人ということはまずありません。小さな括りでオリジナルのブランド名を付けて販売しているものは別として、いわゆる銘柄牛と呼ばれる牛は『近江牛 < 生産者多数』なのです。

さて、それほど多くはないのですが、飲食店の方で生産者を特定した牛肉を扱いたいと相談を受けることがあります。近江牛のなかでもこだわりというか特徴を出したいということなのでしょうが、私はあまり賛成しません。他にもA5だけを扱いたいとか、雌牛に限定してほしいとか、すべては好みですから私がどうこう言うべきではありませんし、正解もなければ不正解もないと思っています。ただ、生産者を特定した場合、良くても悪くてもその生産者の肉を使い続けなければいけないということになります。格付けにこだわる場合も同じです。

生産者を特定すれば、赤身が多いA2あたりの肉が好みなのに、今回はA5のサシがたくさん入った肉を使わなければいけないことも可能性としては大いにあります。その逆もあるでしょうし、「肉を目利きして仕入れる」ということからは少し離れてしまうことになります。

「目利き」について少しお話ししますと、通常肉屋は業者さん(問屋さん含む)から仕入れる場合がほとんどですが、私の場合はセリでの購買を主としています。たくさんの枝肉のなかから好みのものを目利きするわけですが、お目当ての枝肉を落札できたら、次はいつのタイミングで骨を外して精肉にするのかがポイントになります。これを見誤ってしまうとおいしさのピークがずれてしまうのです。

日本の魚が世界一といわれているのは、漁師の釣り方と手当て(扱い)がいいからです。さしずめ、漁師の釣り方が牛飼い(生産者)で、手当てが肉屋の仕事てな感じでしょうか。最近では、肉に詳しい料理人の方も増えてきたので良い手当てをしたおいしい肉料理に出会う機会が増えてきました。

先日、御殿山のカンテサンスにお邪魔したとき、サービスの有井さんが「岸田(シェフ)は水分量を重要視しています。夏の牛は水分も多く、火の通りも早いので焼き方を変えたりしています」とおっしゃっていましたが、まさにその通りで、そのことを理解できていないと牛がもっている能力を引き出せずに終わってしまうこともあります。

ジビーフの水分量については何度も書いてきていますが、通常の牛の倍はあるんじゃないかなと思うほど多いのです。食べているもの(自生の草ばかり)の影響が色濃く出ているので仕方がないのですが、問題はどうやって水分量を調節するかなのです。ジビーフはドライエイジドには向いていないので、吊るしで庫内に風を回して乾燥させているのですがいまのところうまくいっています。牛の生命力もあるのでしょうが、おかげさまで少しづつですが良い評価をいただけるようになってきました。

6月には料理人のみなさんとジビーフツアーを開催します。最初は4~5人で行くはずだったのですが、結構な人数になりそうです。次回出荷のジビーフも気になるところですし、かなり楽しくなりそうです。

 

 

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