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購入基準は価格ではなく背景であり物語

公開日: : 2015/08/09 牧場・生産者

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ナマナマしいですがと畜したばかりの牛から取り出した内臓です。タンと天肉、そしてハラミとサガリです。北海道の方にハラミと言っても通じないことが多く、呼び方はハラミもひっくるめて“サガリ”なんですね。ところ変わればで九州へ行くと“カクマク”と呼ばれています。

と畜したばかりの内臓は鮮度はいいのですが、タンや天肉、ハラミなんか締りがなくふにゃふにゃの状態です。一晩冷やせば身が締まるのですが取引先に早く届けたいので、その日のうちに発送してしまいます。牛肉は寝かせたほうがいいのですが、内臓はできるだけ早く処理して発送します。宅急便の冷蔵車内で到着した頃にはある程度締まっているという具合です。海外へ行くと輸送が整備されていないので困ることが多々あるのですが、と畜して24時間前後に届けられる日本の運送会社は本当に素晴らしいの一言に尽きます。

世の中に出回っている内臓のほとんどが身元不確かなものばかりです。牛肉と違ってトレーサビリティの表示義務がないので当然なのですが、そもそも内臓は流通経路の複雑さから義務化は難しい問題なのです。販売側も消費者もそこまで気にする人がいない現状もあるのかも知れませんが、牛肉同様に私はどうしても気になってしまうのです。目の前にいくら素晴らしい内臓があったとしても、どこのだれのどんな牛のものなのか知っておきたいのです。

毎日のように全国から料理人の方々が当店を訪ねてくれるのですが、ほんとうに狭くてバタバタしていて申し訳ない限りです。来ていただいても牛を見たり冷蔵庫を見たりするわけでもなく(いろいろな肉は見ていただきますが)私と世間話するだけなので時間の無駄になっていないかと心配することもあります。

みなさんに共通していることなのですが、背景や物語を魅力と感じ、仕入れの基準も近江牛というブランド優先ではなく、生産者やどのような生い立ちの牛なのかに興味を持っている方が非常に多いです。輸入牛肉であれば、品質も大事ですが生産国も購入の基準の一つであり、国産であれば生産者も購入の基準の一つというように、銘柄牛や価格ではない購入基準が私の周りでは増えてきているように感じます。

 

 

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