A2ヒレ肉のココット焼きは悶絶寸前の境地に
公開日:
:
2015/07/30
イベント

A5の肉は作れてもA2は難しいなぁ…
畜産の世界では、昔から雌で未経産の牛がおいしいとされてきました。そして「融点」という言葉も付随してよく使われます。サシが入っていても融点が低いからくどくない..とか、あっさりしているのでいくらでも食べられるとか・・・
果たしてそうでしょうか?
もちろん個人差はありますよ。私の友人なんて60歳近いのにギトギト脂のバラを300gも食べますからね。これは例外としても、少なくとも私は1~2枚も食べれば満足してしまいます。よく年齢的なことを言われる方がおられますが、どうでしょう、あまり関係ないように思うのです。いつか読んだ雑誌のアンケートでも、若い世代は霜降りより赤身の傾向にあるというようなことが書かれていました。だれにアンケートをしたのかにもよりますが、ハッキリと言えることは、生産者がサシを追い求めすぎて味が追いついていないのが原因の1つだと思うのです。
数年前に、ある生産者にA5はいらないからA2を作ってくれるようお願いしたことがあります。すると、A5を作るより難しいというのです。当時は驚いたのですが牛の世界を知れば知るほど納得できることが多くあります。生産者はなんとかA5に近づけようと牛を育てます。好き好んで価値の低いA2を目指す人はそうそういないでしょう。もっと言うならA5なるような飼育技術は勉強してきたが、格付けが低くなる牛を作る勉強はしていないということです。
先月、友人の名前を拝借した牛が出荷されました。小ぶりの枝重で格付けはA2でした。私の中では理想的な牛なのですが、市場の評価はかなり低いです。しかしながら問題は格付けではなく味なのです。つまり見た目ではなく食べておいしいかどう。これが本来の評価であるべきだと思うのです。ただ、味は好みの問題ですから、評価基準を設けるのが難しいですね。
今回のお肉は、30日程度冷蔵庫に吊るしてその都度様子を見てみることにしました。毎日触れば肉の変化も分かりますし、タイミングを見計らって骨を外すことに…
結果として、仕上がり感もよく、水分もほどよく抜けていました。
さて、せっかくなのでみんなで食べようということになり、名前を拝借した友人の声かけで北浜のエッサンシエル、大東シェフにお願いしたのでした。

私はヒレを食べることがほとんどありません。柔らかさだけが約束されたような部位なのでおもしろくないというか味が単調で料理も想像できてしまうのです。しかし、今回はあえてヒレとシンタマ(冒頭の写真)を用意させていただいたのです。

ヒレのフリット&グルビッシュソースです。シャトーブリアンはメインで使うのでヒレの耳と端の部分だそうです。しっかり歯に感触が伝わります。とろけるような柔らかさはなく、かといって硬くもなく、深みのある味がフリットによく合います。

メインのココット焼きシャトーブリアンです。通常、和牛のシャトーブリアンは歯がいらないくらいの柔らかさなどと表現されますが、しっかり歯ごたえがありました。といっても硬いのではなく心地よい噛みごたえといったところです。
これがA4やA5のヒレだったら、また違った料理だったのかも知れませんが、柔らかさだけを求めるのではなく、肉本来の硬さも表現の仕方によっては余韻の残るすばらしい一皿になるということを改めて知らされました。
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