金儲けをしたいのか、中身をキッチリやりたいのか。
公開日:
:
2015/03/15
雑記
マル(シンタマ)はモモの一部ですが、「モモ=赤身」だと思われている方が非常に多くいらっしゃいます。ロースやバラ(カルビ)が霜降りでモモは赤身。ざっくりだと間違いではないのですが、評価の高い牛(格付けでいうところのA4とかA5)のモモにはサシが入りやすく、もちろん部位にもよりますが、例えば写真のマルは、全体的には赤身ですが、ヒウチと呼ばれる一部分にはサシが入るのです。一般的な用途としては焼肉用として使うことが多いのですが、私はあまり好ではないのでカレーに入れたりします。商売的には焼肉やステーキ用として販売するほうが利益がとれるのですが、私の好みを基準に考えるとカレーなのです。金儲けをしたいのか中身をキッチリやりたいのか・・・私は後者をがんばります。
ところで、少し前の話しなのですがLe14e(ル キャトーズィエム)でオーベルニュの生産者、パトリック・ブージュ(→)と出会いました。彼のワイン造りの背景を知り共感し、それからというものは彼のワインが気になるのです。ワインそのものも好みなのですが、そこにパトリック・ブージュが語ったことや彼の顔が浮かぶわけです。8のおいしさが10になりついつい自宅のセラーにもパトリック・ブージュのワインが増えていくのです。
造り手を知るということは、その商品の背景まるごと食べるということだと思うのです。ちょっと的外れかも知れませんが、スタッフに仕事を教えるとき、作業しか教えない場合と背景や思いを伝えながら作業も教えるやり方とでは育ち方が違ってくるのです。
なぜこの肉を使うのか、どのような流通経路でいまこの肉はここにあるのか、生産者はどのような思いで牛を育てているのか。こういった背景を伝えることでスタッフ間の思いも1つになり私がなにを考えているのかがクリアになると思うのです。
パトリック・ブージュとほんの数時間会って話しただけでもその後のワイン選びを意識するのですから、働く人の気持ちのありようがお客様の満足度を左右するサービス業において「思いを伝える」ということは日々の作業をするうえでとっても大切なことだと思うのです。
金儲けをやりたいのか、中身をキッチリやりたいのか。私は後者をがんばります。
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