愛農生がすべてを食べ尽くすプロジェクト
公開日:
:
2014/07/18
愛農ナチュラルポーク
いつだったか、愛農高校の楠本了平くんから電話がかかってきた。内容は、種がつかなくなったホルスタインを廃牛扱いではなく、生徒たちで屠畜して解体して食べるところまでできないだろうか、というものだった。
「了平くん、さすがに屠畜は無理やで」
「え、そうなんですか!」
こんなレベルです。いったいどうなるのかと思っていたのですが、きたやま南山さんが取り組んでいる農水省の「フードチェーン食育活動推進事業」の一環として高校生たちと一緒にやることになったのです。大人の知恵と高校生のパワーであれよあれよというまに夢が実現していきます。映画「ある精肉店のはなし」の北出新司さんにお越しいただき、生徒たちは脱骨の指導を受けながら牛について、肉について学んでいきます。
この後、参加者全員でBBQを行ったのですが、愛農高校の全生徒が接待してくれるわけです。そればなんとすばらしいことか。規則正しくだらだらしている子は1人も見られませんでした。みんなが各自の役割を理解して暑い中動き回ります。
生徒たちがマイクを持って自分たちの部内で学んでいることを話します。へたな大人より上手に想いを語ります。彼ら彼女らの言葉には嘘がないから聞いていても心地よさを感じます。自慢するわけでもなく、人の悪口を言うでもなく、目を輝かせて話す姿がとにかく素敵でした。私にもこんなときがあったはずなのに(笑)
プロジェクトの企画をサポートしたということで生徒たちから感謝状をいただきました。たいした役にもたっていないのに恐縮しきりです。ある先生がこんなことを言っていました。「私たちがやったことは、この日のために新保さんのブログから愛農ナチュラルポークの記事や西川さんのジビーフの記事を貼り付けて生徒たちのモチベーションを上げてきました」と。すべては生徒たちが企画して運営して、大人たちは少しだけ知識と経験をアドバイスしただけという本当にすばらしいプロジェクトでした。
ジビーフの西川奈緒子さんの長男ゆうき君もこの日はがんばっていました。養豚部のエースは放牧にもチャレンジしているらしく、さっそく見せてもらいました。
5頭を放牧させているそうですが、遠くから見たらサツマイモかと思ったほど肌の紅色でした。LWDDでデュロックの血が濃いのが原因だと思いますが、どちらにしてもゆうき君に4頭買うことを約束したので仕上がりが楽しみです。
西川奈緒子さんから、「息子は、どうしても愛農で放牧豚にチャレンジしてみたくて、今の愛農ナチュラルポークを越える『幻の愛農豚』を目指しているようです」さらに、「新保社長買ってくれるかな~?」と、心配していたとのこと。
もちろん買いますよ!その場でゆうき君に4頭予約しました。1頭は学校で使うそうなので、これで5頭完売です。しかし、豚を育てるだけではなくその後のことも考えているとはすばらしい教育がなされているのでしょうね。本人の資質によるのかも知れませんが牛や豚を飼うだけではなく、これをビジネスとして成り立たせるには「売れる畜産」でなければいけません。
どんなにすばらしい牛や豚でも育てた後が問題であり、経営を持続させるにはマーケティングが重要です。
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